Yak-130は練習機から派生した攻撃兼用機だが、今後さらに高い攻撃能力をもった機体がミャンマー国民を襲うおそれもある。クーデター後にロシアは、同機の追加提供に加え、Su-30(スホーイ30)を輸出用に改良した複座式多用途戦闘機を提供する意向を示している。
住民を家ごと焼き殺し、逃げる人々を撃ち殺す
軍部はヘリで住民を威嚇し、地上部隊を降ろして殺戮を進めるという手口を繰り返している。米議会の出資により設立された「ラジオ・フリー・アジア」は7月、ミャンマー国軍が中部ザガインの村に火を放ち、500軒以上の民家を焼き払ったと報じた。少なくとも10人が犠牲になっているほか、50人が行方不明との情報もあるという。
関係者によると、亡くなった10人のうち7人は炎に巻かれて死亡した。遺体は見分けがつかないほど炭化しており、身元確認は難航した模様だ。残る3人は軍人によって地元の仏教寺院に連れ込まれ、「暴行され、撃たれて亡くなった」という。
一件で兄弟を亡くした男性はラジオ・フリー・アジアに対し、襲撃の様子をこう語っている。「村で二人で座り込んでいると、2機のヘリコプターが何の前触れもなく空に現れ、私たちを撃ってきました。ほかの複数のヘリが兵士たちを降ろすと、奴らは大通り沿いに進み、人々を撃ち、逮捕し、家々に火を放っていったんです」
900戸ほどの村は、住戸の半数以上を失った。仏教徒が住む地域に目立った被害はなく、焼失はイスラム教徒が住む地区に集中していたという。村はイスラム教徒の多さで知られており、特定の宗教を迫害する意図があったとみられる。
「村人はそこで喉をかき切られた」
軍事政権の横暴は止まらない。8月に入ると、類似の手口で3つの村が襲われた。英字・ビルマ語紙の「エーヤワディー」が報じたところによると、8月1日からの約1週間のうちに北部サガイン地方の3つの村が襲撃され、住民とレジスタンス合わせて少なくとも29人が死亡したという。
このうち約300戸のカインカン村では、半数近い147戸が破壊された。午前中にロシア製のMi-35(ミル35)が現れ、村に向けて攻撃を加えたという。同時にほかの2機が兵士を空輸してきて降ろすという、7月のザガインの村と非常によく似た手法となっている。
目撃者の村人によると、ある30歳の村人はレジスタンスの拠点が村にあるかと聞かれ、知らないと答えたという。これが兵士を怒らせたようだ。「彼は縛り上げられ、学校の裏手へと連れていかれ、兵士はそこで男の喉をかき切った」という。