BIOS開発者、博報堂ブランドチーム兎洞武揚氏はそのように述べる。ブランドリーダー研修は3日間にわたって行われる。
1日目の「ブランド理解ワークショップ」では、ブランド戦略ワーキンググループが規定したブランド基本戦略の理解・浸透を図る。2日目の「ファシリテーションスキル研修」においては、ブランド活動に限らず、日々の業務を効率的に進めるコミュニケーションスキルとして、会議の進め方や、SWOT分析を用いた問題の整理の仕方等のスキルを学び、ファシリテーションスキルを習得する。最終日の「実践演習」では、ブランドビジョンが部内で浸透するための実践的な演習を行う。このスクールを経て、彼らはそれぞれ部門のメンバーにブランドを伝播する媒介役を担う。
「ブランドリーダーに理想的なパーソナリティは、リーダーシップがあり、コミュニケーションスキルが高く、世話好きであること。属性で言えば、30代後半から40代の課長職、あるいは部長職一歩手前の、自分の会社が社会の中でどのような動きをしていて、どういう部門でどういうことがなされているか、全体が見えている人が望ましい」(兎洞氏)
日立システムアンドサービスは、2004年の東証2部への上場を機に、ブランディング活動に積極的に取り組んでいる。
ブランドマネジメント室主任の秦和男氏は、その最初のブランドリーダーに選ばれたひとりだ。当初、どこまでの裁量が自分たちにあるのか、会社がどこまで認めてくれるのかは疑心暗鬼だったという。しかし、現場から選ばれたブランドリーダー13名に、社長や役員しか知らないような経営情報が次々に渡され、BIOSの「主体的にアクションが生まれ、アウトプットの創出がなされる仕組み」に沿って、ブランドステートメントの策定が行われた。彼らが作成したものに、経営陣はほとんど手を加えていない。こうして若手リーダーたちが主体的に作成したブランドステートメントを母体に新たに経営理念が作成されたので、自然と浸透度は高まった。