旧統一教会とのパイプ=米保守系政治家への忖度

沖縄の基地問題、憲法を無視した安全保障関連法制などを見てもわかるように、基本的に日本という国は“アメリカ様”が求めていることは、それがどんなに理不尽なことでも、屈辱的なことでも甘んじて従わなければいけない。

特に日本の保守系政治家は、「対中国・北朝鮮の安全保障」という人質を米保守系政治家に握られているようなものなので、彼らの嫌がることができない。

そんな「対米従属」の現実がある中で、自民党が旧統一教会と「絶縁」できるだろうか。米共和党の政治家たちに対して、「あなたたちが支持している団体だけど、我が国ではカルト認定し政治の世界から排除しましたので、悪しからず」などと伝えることができるだろうか。

できるわけがない。ほとぼりが冷めるまでは表向きは距離をとるかもしれないが、水面下ではちゃんとつながっていて、安倍氏のポジションを清和会の誰かがしれっと引き継ぐはずだ。文鮮明と岸信介の蜜月関係を、福田赳夫がちゃんと受け継いだことからもわかるように、旧統一教会とのパイプはなにも安倍家だけのものではなく、清和会で「維持管理」しているものなのだ。

つまり、「安倍家と旧統一教会が蜜月」というのは、清和会を中心とした日本の保守系政治家が、「良好な日米関係」を維持するという大義のため、米保守系政治家への「忖度」をし続けてきたことの結果でもあるのだ。

だから、安倍元首相一人いなくなっても状況は何も変わらない。「自民党と旧統一教会」というのは日本の「対米従属」が変わらない限り続いていく構造的な問題なのだ。

各種宗教団体が「相乗り」している自民党

もちろん、それだけではなく、自民党自身にも「選挙支援」など旧統一教会との関係を断ち切れない「オトナの事情」がいくつかある。その中でも実は特に大きいのは、「自民党を支える他の宗教団体への配慮」だ。

今回やたらと「自民党と旧統一教会はズブズブだ」という話が盛り上がっているが、自民党がズブズブなのはなにも旧統一教会だけではない。

「保守政党」だけあって、有名なところでは神社本庁があるが、それ以外にもさまざまな宗教団体が選挙になると、自民党候補者を支援している。例えば、日本会議ホームページの「役員名簿」を見ると、新生佛教教団、解脱会、念法眞教、佛所護念会、崇教真光、大和教団などの幹部の名が連なっている。また、霊友会や立正佼成会も自民党の「友好団体」として知られているし、創価学会にいたっては連立政権を組む間柄だ。

さて、そこで想像していただきたい。このようにさまざまな宗教団体が「相乗り」しているような状態の自民党が、今回の事件とその後の信者トラブルの報道などを受けて、旧統一教会との付き合いを完全に断ち切ると宣言したらどうなるか。