12歳年下の新たなパートナー

実はこの頃、新たな人生のパートナーとなる男性との出会いもあった。起業塾で知り合った彼は12歳年下で、一年後には結婚という周りも驚くスピードだった。きっかけは飲み会の席で彼から気になる言動があり、皆の前で怒鳴ってしまったこと。翌日、ちょっと言い過ぎたと反省した西崎さんが「昨日はすみません」とメッセンジャーで詫びると、「ありがとうございます」という返信が。毎日「大好きなさっちゃんへ」というメッセージが届くようになり、二人で会ったときにいきなり「僕と再婚しない?」と聞かれる。面喰らいながらも温かな人柄に魅かれていった。

撮影=市来朋久
「子どもの学費があったから頑張れた」と西崎さんは話す。

「20歳の娘に『ママ、悩んでるんだよね』と結婚の相談をしたんです。すると娘は真顔になって『相手は、うちにお金がないことを知ってるんでしょ』と聞くので、『知ってる』と答えると、『私たちがいることも知ってるんでしょ』と。『この家もママのものだよね。もし結婚してうまくいかなかったら、何が困るの?』と聞かれたのです。私が『傷ついて2週間くらい泣くかな』と言うと、何も失うものはないのだから幸せになれるかもしれない未来を信じて、と背中を押してくれました」

「子どもの学費」という絶対に逃げられない出費

急展開する日々のなか、西崎さんは退職を決意。2015年8月からスタートしたのが「片付け」の仕事だった。もともと専業主婦時代に友人とチームを組んで、片付け代行をしていたことがあった。起業を目指していたとき、知人から家の片付けを依頼されるようになり、一人で始めてみようと思い立ったのだ。

当初はやはり、「片付け」がどのくらいビジネスになるのかという不安もあった。それでも西崎さんは何とか軌道に乗せなければと強い覚悟を持っていた。

「私には『子どもの学費』という絶対に逃げられない出費があったから、ゴールは常に明確でした。○月までに授業料をいくら振り込まなければいけないと、もし払えなければ子どもたちは学校へ行けなくなるのです。そのためには○月までに売り上げの数字をどのくらい達成するかを考えて、具体的な経営計画を立てなければなりません。ヨガスタジオの店長時代に社長から言われたのは、仕事は『今』ではなく『3カ月後』を見据えてしなければいけないということ。めちゃくちゃ数字は苦手でしたが、もう苦手なんて言っている場合ではなかったので切実でしたね」