1980年代には、様々な調査で次のようなことが明らかになりました。大型の商談で成果を出している営業担当者の共通点は、「顧客の課題を引き出し、解決策を提示していること」である、と。

これ以降、営業という仕事では、単に顧客に対して商品やサービスの情報を伝えるだけの「プロダクト営業」ではなく、商品やサービスを用いた課題解決を顧客に提案する「ソリューション営業」が大切であると言われるようになりました。

営業の天敵となった“インターネット”

商品・サービスの機能や性能といった情報を説明するだけの「プロダクト営業」に対して、「ソリューション営業」では顧客の考え方や置かれている状況などを知り、どのような商品・サービスを、どのように活用すべきなのかを顧客に提案する力が求められます。

顧客も単なる「プロダクト営業」よりも、有用性のある提案をする「ソリューション営業」を好むようになり、1980年代以降、営業の世界では徐々に「プロダクト営業」よりも「ソリューション営業」が主流になっていきました。

それを加速させたのがインターネットの普及です。

ネットを活用すれば、顧客はウェブ上で商品やサービスの情報を簡単に知ることができます。大半の商品・サービスの機能や性能については、いちいち営業担当者から説明を受けなくても、把握できるようになったのです。

インターネットの普及は、商品やサービスのコモディティ(汎用)化も引き起こしました。それぞれの会社が、ライバル会社の商品やサービスについてすぐに知ることができるようになったため、競合同士の模倣が容易になったのです。

営業が売るべき商品やサービスが、簡単にライバル会社にまねされるようになった。そんな競争環境の中で、これまでと同じように、ただただ商品・サービスの情報を伝えるだけの「プロダクト営業」では成果は上げられなくなってきました。

「御社の課題は何ですか?」と尋ねる営業が一気に増えた

1980年代、営業の世界で起こった「ソリューション営業」の台頭。では現在の営業の世界では、「プロダクト営業」から進化した「ソリューション営業」がベストかというと、実はちょっと違います。

私は、この「ソリューション営業」でも形骸化が進んでいると痛感しています。

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1987年に出版された営業活動の古典的名著『Making Major Sales』(邦訳『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』)。この本では「ソリューション営業」を実現するためのポイントを、営業から顧客への「質問」であると提唱しています。

商談の流れに沿って「状況質問(Situation)」「問題質問(Problem)」「示唆質問(Implication)」「解決質問(Need-Payoff)」という4つの質問を組み合わせることによって、「ソリューション営業」を推進するというメソッドがSPIN営業術です。