体形が変わらず体脂肪率が増える「サルコペニア肥満」
サルコペニア肥満という言葉を聞いたことはありますか?
「隠れ肥満」と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。運動不足や加齢によって筋肉量が減ったうえに、脂肪も多い状態のことです。20代から洋服のサイズが変わらない人ほど、注意が必要です。
サルコペニア肥満は、体形が変わらなくても筋肉と脂肪の比率が変わっているので、外見では気づきにくいのです。運動せずに体形がキープできていると過信し、筋力が低下していることに危機感を持てません。
筋肉量は減少し、脂肪が増加するので、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、運動機能低下による転倒リスクが高まります。転んでケガをし、そのまま寝たきりになるケースも。65歳以上の高齢者がなるものとされてきましたが、最近では20代からサルコペニア肥満の人が増えつつあります。年齢を問わず運動不足は筋力低下を招き、いずれは社会生活が送れない状態になってしまう可能性があることを頭に入れておいてください。
「元気になったら運動しよう」「運動は苦手だからな……」とあとまわしにしていては、不調スパイラルから抜け出すことはできません。「筋力アップ=ハードなトレーニング」ではありませんので、安心してください。
寝たきりになるか、健康寿命を延ばすか40歳が分かれ道
不調の原因としてあげてきた、運動不足、筋力低下や脳と体のズレは40歳を境に顕著にあらわれます。「まだまだ若い」と脳内で思っていても、体は確実に下降線を描いています。
日本老年医学会の発表(2010年)によると、下肢の筋肉量は20歳を過ぎると大幅に減少することがわかっています。40歳を過ぎると全体の筋肉量も一気に衰え、低下するスピードが早まります。動かさずにいると、どんどん筋力は落ちるのです。若さだけで乗り切るには、難しい年齢に突入している事実をまずは受け入れましょう。
当院を訪れる人も圧倒的に40代が多いです。女性の場合、早い人では更年期を迎え、肩こりや頭痛、めまい、手足の冷え、気分の落ち込みなどさまざまな不調に悩んで相談にいらっしゃいます。更年期の症状と気づかず「仕事と家事で疲れているだけ」と、がんばりすぎて体を壊してから来院される方もいます。
健康診断でメタボリックシンドローム予備群と指摘され、あわててジムに入会し、急激に体を動かしたことでひざや腰を痛めて来院される方もいます。