2021年末、四川省の一都市での司法判断が中国社会で話題になった。24万元(約456万円)を超す結納金を支払って結婚にこぎつけたものの、45日後には離婚された男性が起こした裁判についてである。射洪市人民法院は一審で、「女性側は男性側に結納金24万元を返却すること」という判決を下した。

女性側はその24万元ですでに住宅購入の手続きに入っていたため、即上告したようだ。これが結納金目当ての結婚詐欺なのか、はたまたお金とは無関係で、夫婦としての感情のこじれの果てなのか、それは当事者にしかわからない。

独身男性の人数はオーストラリアの総人口を超えている

2021年に発表された中国版国勢調査(第七次全国人口数据統計)によると、中国の総人口は14億1178万人で、男女構成別では、男性人口は約7億2333万人、女性人口は約6億8843万人で、総人口の男女比は105.07人(女性100人)となっている。単純計算で、男性は女性よりも約3490万人多い。

レコードチャイナの報道によると、2014年は男性が女性よりも3376万人多かったので、ほぼ横ばいといっていい。

問題は前述した通り増える独身男性の数である。2015年の時点で、福建省統計局人口調査センターの姚美雄副主任は、「中国の独身男性数は2020年にオーストラリアの総人口に迫る。その大多数が生涯を独身のまま送ることになる」との見通しを示した(レコードチャイナ、2015年9月2日)。

ちなみにオーストラリアの総人口とは、2500万人を超えているが、その懸念は現実のものとなった。

青樹明子『家計簿からみる中国 今ほんとうの姿』(日経プレミアシリーズ)

中国社会で大きな比重を占める「独身者」たちは、中国国家民生局の調査によると、2億人近くも存在するという。1990年より6%、2013年より14.6%上昇している。単身者は日を追って増えていき、今は第四次独身ブームを迎えているといっていい(「中国剰男剰女人数已近2億,哪里的単身妹子最多?」温州財経2015年11月28日)。

2018年の統計によると、中国の独身人口は2.4億人で、これはイギリスとロシアの全人口を合わせた数字に匹敵するのだそうだ(「中国統計年鑑」)。

それにしても、何故ここまで独身者が増えてしまったのか。

独身者は男性だけではない。独身女性も増え続け、「剰女」(余ってしまった女性)と呼ばれる彼女たちは、北京だけでも50万人いるという。そのなかで90%は、高学歴女性なのだそうだ。

嫁の来てがない農村男性、敬遠されがちなエリート女性、彼らは「剰男」「剰女」として、中国社会で大きな一群となっているのである。

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