経費で作ったカレンダーで著作権収入を得る全特
こうした日本郵便の対応には当然、現場の局長からも不満が噴出している[参照:「カレンダー横領したん?」 食卓で尋ねる息子、真相は語れず:朝日新聞デジタル(asahi.com)]。日本郵便内でも昨秋には「きちんと不正実態を解明すべきだ」と意気込む幹部はいたが、今回はそれを日本郵政グループ側が抑え込む図式になっている。
件のカレンダーは、全特主催のコンテストで選んだ局長たちの写真で作ったもので、著作権を持つ全特側も一定の収入を得ている疑いが濃厚だ。つまり、日本郵便社員である全特幹部らが働きかけたカレンダー購入によって、支出された億単位の経費の一部は全特の関連団体に流れていた疑いが強い。非上場の同族経営ならいざ知らず、役職員の関連先に利益を融通する取引はなるべく排除するというのが上場企業経営では常識だ。
だが、日本郵便の衣川和秀社長は昨年末の記者会見で「著作権の支払いは商行為として特異ではない」などと繰り返し、従業員が経費を元手に利得を得ていても問題はないと主張。経費の一部が全特側に還流しているかどうかを何度も質問されながら、頑なに答えずに隠し通した。
日本郵便は郵便局の局舎賃料を元手に局長会関連団体が多額の利益を得ることも容認しており、上場企業の主要会社としての資質が疑われる状況だ[参照:郵便局舎の移転、目立つ局長団体 融資、過去3年で2割超 総額30億円:朝日新聞デジタル(asahi.com)]。
日本郵便取締役も兼ねる日本郵政の増田寛也社長も、衣川氏に同調してみせた。11月末の会見では「調査で明らかになる」と歯切れよく説明していた態度を、クリスマスイブの会見では一転させ、経費の還流については問題視せず、決して明かそうともしなかった。
郵政首脳陣がなりふり構わずに幕引きを急ぐ姿勢は、年明けからさらに鮮明になっていく。(後編につづく)
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