2:保証会社審査

保証会社の審査はグレーゾーン

ここでいう保証会社とは家賃保証会社のことで、契約時に借りる人の連帯保証人を代行してくれる会社である。借りる人が家賃滞納をした際、大家への家賃立て替え払いなどを業務にしている。大家は「保証」として、親族などの連帯保証人を求めるケースと、保証会社加入と連帯保証人の双方を求めるケース、そして保証会社のみでよいとするケースがあるが、どれになるかは大家の意向次第。保証会社のみでよいとする物件も増えてきているそうだ。

賃貸保証会社の審査で最も重視されるのは、家賃の支払い能力と入居する人の人物像。

審査のチェックポイント(例)は、

① 安定した収入があるか(正社員で、かつ勤務歴1年以上あると有利)
② 家賃と年収のバランスが合っているか(一般的には手取り月収の30%以内が目安)
③ 過去の滞納歴(家賃やクレジットカード)

芸能人が賃貸物件の審査に通らず大変な思いをしたといったエピソードをテレビ番組内で披露することがあるが、これは入居審査で「無職」扱いされた可能性がある。逆に言えば、月給という「固定給」があることが証明できれば、仮に年収が低くても、家賃とのバランスが悪くなければ、通りやすいと言われている。

また、ケースによっては借りる本人だけでなく、連帯保証人の保証能力も問われるので、親が年金生活者の場合、断られるケースもなくはない。

「年金生活者でも資産があったらOKの場合もあれば、漏れなくNGの場合もあってケース・バイ・ケースです。先日も、連帯保証人が年金生活者でしたが、通帳残高の額でOKになったケースもありました」

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ただ、審査の中身はブラックボックスであることが多く、しかも……。

「もし、賃貸保証会社の審査に落ちたとしても、その理由が明かされることはありません。保証会社の審査基準は不動産屋にも公開されていません。審査内容には各社それぞれに基準がありますが、審査結果の内容に関する質問は受け付けられないのです。よって、審査落ちの理由は推測するしかありません」

Aさんは数年前、自分の担当案件で、都心の立派なビルに本社を構える大企業に内定が出た大学4年生の借り主が賃貸保証審査に通らなかったケースがあったという。理由は不明だが、「その人の内定通知が出たのが1年以上前なので、あまりに早すぎて逆にあやしい」と判断されたフシがあったようだ。Aさん自身もその判断の理不尽さに憤慨したそうだが、審査会社の担当者の主観によって決まることは決して珍しくない。

「対策として考えられるのは、最初に借主さん側の立場に寄り添って親身になってサポートしてくれる不動産屋を選ぶことです。例えば、審査に通る可能性がある保証会社を選定してくれるというように、保証会社が心配になるような部分を事前に解消しておけるような専門的アドバイスをしてくれる不動産屋が見つかると心強いですよね。その際、借り主側は自分の事情を正直に相談するのが一番です。もし、相性や面倒見が悪いなと思う不動産屋でしたら、他を当たってみるという選択もありだと思います」