自家用機に乗り込む若い女の子たちが目撃されていた
セント・トーマス島の空港では、未成年と思われる女性が彼の自家用機に乗り込む姿がたびたび目撃されていた。
滑走路で働いていた地元民がヴァニティ・フェア誌の取材にこう話している。「高校生くらいの女の子たちがいた。とても若く見えた。いつも大学のスウェットシャツを着ていて、ショッピングバッグをもっていた」
島の警察署長であるウィリアム・ハーベイは、自分はエプスタインが誰であるかさえ知らないと主張した。
1998年にリトル・セント・ジェームズ島を買ったあとエプスタインは、この30ヘクタール弱の楽園に数百万ドルを投じ、茂った森の大半をブルドーザーで破壊して道路や建物を建設した。メインの屋敷のほかに、映画館、図書館、ジム、音楽スタジオ、日本風の大浴場などがある。
記録によると、野生動物を保護し外来植物の侵入を防ごうと、環境保護庁などが何度も島の開発を制限しようとしたが、不調に終わっている。指摘を受けるたびにエプスタインは、環境規制を回避するために罰金を支払ったり、罰金の代わりに慈善団体に寄付したりしていた。
1999年に島で雇われたデータ通信の専門家、スティーブ・スカリーの話では、エプスタインは世界じゅうの金融市場をつねに監視できるように、専用の電源を設けて光ファイバーケーブルを張り巡らせ、広域データサービスを引き入れるのに、尋常でない額を投入したという。エプスタインは、諸島の他の雇用主たちと同様に、従業員の子どもたちの私立学校の費用を肩代わりしていた。
買い手を隠し、さらに広い島を2250万ドルで取得
だが島ひとつでは足りなかった。エプスタインは2015年、海峡を挟んだ向かいにある、2倍以上広い65ヘクタールのグレート・セント・ジェームズ島を手に入れようとしはじめた。
この島は1970年代からデンマーク人家族が所有していた。マイアミ・ドルフィンズのジェイソン・テイラー選手への売却をめぐって一悶着あったようだが2013年に決着し、その1年後にデンマーク人家族は島を売りに出した。
だがその一家の相続人は、エプスタインの性的人身売買の経歴を理由に、彼には売りたがらなかった。
そこでエプスタインはいつものように金と資源を使って望みのものを手に入れる道を見つけた。ダミー会社を設立し、真の買い手がドバイの王室とつながりのある裕福なビジネスパーソン、スルタン・アーメド・ビン・スライエムであるかのように見せかけたのだ。
2250万ドルで売買契約が成立し、買い手が島をブルドーザーで壊しはじめたあとになって、労働許可証の記名から真の所有者がエプスタインであることが明らかになった。
スライエムはわれわれの取材に対し、エプスタインからベンチャー企業に名前を使いたいと言われたが、自分は断ったと側近をつうじて回答した。