教員は授業と日常業務で手いっぱい
さて、私が整えるべきだと思う点は、大きく二つあります。
第一は、学校の働き方改革です。
学校が「ブラック職場」であることは、すでにさまざま形で報道されていますが、いまの学校の先生たちはとても忙しい。授業のコマ数が増えただけでなく、国や都道府県教委からの通知や通達が、読み切れないほどきます。配慮が必要な子どもも多く、保護者からの相談件数も非常に増えています。つまり、先生たちは授業と日常業務で手いっぱいなのです。だから、いじめ問題に取り組む時間が確保できていない。
残業は過労死ラインを大幅に超える1カ月96時間
日本教職員組合が昨年12月に発表した教員の1カ月の残業時間は1カ月あたり96時間44分。過労死ラインと言われる80時間を大幅に上回っています。しかも、1960年に設立した給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)によって、残業代も出さなくていいことになっている(※)。このことが、管理職の勤務管理の甘さを生んでいると思います。
こうした多忙な状況でいじめ問題が発生すると、どうなるのでしょうか。状況の確認、報告、保護者への対応など膨大な業務が負荷されることになります。先生たちに気持ちがあってもやりきれず、対応が遅れたり、場合によってはいじめを認めたがらないといったことにつながっていくのです。
日常業務の軽減を図ると同時に、いじめ問題に対応する専門スキルを持った人材を配置するなどの具体的な対策も必要だと思います。今回のアンケートで、「中立の立場で介入し解決改善に向けて協力した第三者機関は必要だと思いますか」と質問したところ、87%が「必要」と答えました。
※給特法 第三条 教育職員の教職調整額の支給等
教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。
第三条の二 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。