なぜ、メジャー選手の年俸は日本選手の10倍もあるのか

日本プロ野球選手会によれば、日本人選手の2021年平均年俸は4174万円(選手の平均寿命は9.5年30歳=NPB調べ)。一般会社員の約10倍だ。12球団ごとの平均で最も高かったのはソフトバンクの6932万円、最低はオリックスの2640万円。2021年シーズンでパ・リーグを制したオリックスはコスパ、費用対効果が極めてよかったと言える。

他方、メジャー選手の2021年平均年俸は4億5000万円(日経新聞2021年4月17日付)だから、日本選手の約10倍だ。ちなみにダルビッシュ有(パドレス・35)は23億円。大谷翔平(エンゼルス・27)の22年年俸は6億3000万円だ(米データサイト「スポトラック」)。ダルビッシュはメジャーの一流投手の平均的な年俸と言えるが、昨年MVPに輝いた大谷は21年2月にそのような契約をすでに結んでいた。今後、巨額な長期契約も噂されている。

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日米でなぜこんなに差があるのか。MLBは、NFL、NBA、NHLと並ぶ北米4大スポーツの一つで、球団は巧みなマーケティングにより「チケット代」「スポンサー代」「テレビ放映権」「グッズ・飲食代」といった収入をあげるノウハウに長けている。

一方、日本はどうか。国内で「野球はビジネス」と考え始めたのは「球界再編」の2004年以降。それまでは1954(昭和29)年の国税庁長官の通達「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱い」により、球団経営で生じた赤字を親会社の広告宣伝費として損金扱いすることが認められた。

しかし、2004年に赤字の近鉄バファローズがオリックスブルーウェーブに吸収合併されたことにより転機が訪れ、球団としての稼ぎも重視されるようになったが、その仕組みが始まってまだ15年。MLBは、マイナーが「ハンバーガーリーグ」の別称で呼ばれるように「完全成果主義」「ハイリスクハイリターン」だが、NPBは1年で契約解除されることはほぼない。「年功序列」も多少加味されるのが日本的契約と言われている。