「夫のような、時代に取り残された大人になってほしくない」
移動するのも、いつも夫は自分の車かタクシーを選択。自転車か歩くことを選ぶY子さんが、夫にガソリン車からエコカーへの買い替えをすすめた時は、「ガソリン車の音と匂いが好きなんだよ。男がガソリン車に乗らないでどうするんだ」とガハハと笑って一蹴された。
自宅でもエコには無関心を貫く夫は、入浴時には必ず浴槽のふちまでギリギリに湯をためるのが習慣になっている。「湯船に浸かる時、ザザーッと勢いよくお湯が浴槽からあふれるのがたまらなくいいんだよな」と言う夫に対し、Y子さんは節水しないことで浪費されるエネルギーのこと、二酸化炭素の排出量が増加することなどを説明するものの、一向に聞き入れようとはしないのだった。
「衣食住、すべてのことで夫と私は考え方から行動まで正反対。とくに子供たちには、今私たちが真剣に取り組むべきSDGsについて熱心に教育をしているのに、夫と一緒に暮らしていると悪影響を及ぼしかねない。とにかく夫のような、時代に取り残された大人になってほしくない」と力強く語るY子さんは今、13年の結婚生活を共に歩んできた夫と別の道を進もうとしている。
「別の人間だから仕方ない」と許し合えるか
夫婦間の価値観や意識の違いは、ひとたび表面化すると、なかなか元通りの関係には修復しにくいもの。なぜなら、それまで我慢を重ねてきたことが一気に噴出することで、以前と同じような愛情でパートナーを思いやることへのハードルが圧倒的に高くなるからだ。だからこそ、もしも元のサヤに収まることを望むなら、大きなトラブルに発展する前の段階で離婚を食い止める話し合いをするのが得策だろう。
「離婚するよりはマシ」という気持ちで臨めば、価値観や意識の違いがあっても「もともと別の人間だから仕方ない」と、その違いを理解し、許し合える関係を築くことも考えられるはず。
人生100年時代といわれる今、妥協して生きる道を選ぶのか、信念を曲げずに生きる道を選ぶのかは自分次第。先の長い話だけに、くれぐれも後悔しない選択をしたい。