比較することは成長のチャンスにもなりえる

最近では「親ガチャ」という言葉が多用されるように、私たち人間は、無意識のうちに先天的なことも後天的なことも比較して生きています。でも先天的なことは比較しても悲しくなるだけです。実家が資産家なら、もうそれで生まれたときからステージや立ち位置が違う。ですから比べる前に、まずはその違いを認めなければいけない。頭の中で確かに違う、と切り分けて違いを認めることが大切です。

撮影=水野真澄

後天的なことについては、先ほどもお伝えしたように、比較するなら狭い世界ではなく、広い世界でマッピングしていきましょう。それは自分が成長するチャンスになるかもしれません。

たとえば、ある人が努力してクリエーティビティやコミュニケーション能力を身につけて仕事がうまくいったとします。それを「あの人は恵まれているから」と、先天的なものといっしょくたにしてしまうと、それで終わり。

でも、それはその人が後天的に身につけたもので、自分もまねできる、盗んでやろうという気持ちで努力すれば、自分もその人に近づけるかもしれません。比較のかいがある。私が言いたいのは、比較するなら比較上手になろうということです。

いずれ、比較から解放されるときがくる

広い比較から自分をマッピングして自分を磨く、自分よりできる人を見習って努力する。その結果、自分が自分の能力を発揮できていると感じたら、それが比較から解放されたときです。

たとえるなら、ある営業マンが、これまでは同僚に数字では負けていたけれど、自分は人を育てる強みがある。人を育てる強みをもっと伸ばすためには、教育にたけたあの人のまねをして能力を身につけよう。そして、その能力を発揮し、これからは個人ではなく、チームで結果を出していくぞといった考え方ができるようになるということです。

そういう考え方ができるようになると、仕事のプロセス一つひとつを楽しめるようになります。仕事の面白さも増しますし、渡り鳥のように大きな海を越えていくこともできるでしょう。

(構成=池田純子)
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