少し古いが2010年にPRESIDENT誌が行った調査からデータを見てみよう。図表を参照してほしい。この調査ではサラリーマン1600人強に過去2年間のそれぞれの職場や自分自身について変化を聞いている。代表的な8つの側面について変化を示してみた。
当たり前のことだが、職場でのコミュニケーションや活気・元気などは、組織が戦略を実行し戦略目標を達成していくための重要な基盤であり、また会社への信頼感は働く人が働きがいをもって仕事をするための基本である。たとえ3分の1の職場といえども、こうした面での劣化が見られるということは、多くの企業において戦略を実行するための基盤が揺らいでいることを意味しないだろうか。ここに示した結果は、経営者や人事部門などが自らの企業について、確かめてみるだけの注意信号は十分出していると考える。
考えてみればもう30年以上前のことになるが、わが国の企業がJapan As No.1などの言葉までいただいてグローバルに競争力をもっていたころ、いったい何が競争力の源泉だったのだろうか。戦略面に由来する競争力か、組織面での強さだったのか、どちらかを決定することは難しいが、少なくとも当時の競争力の基盤として優れた組織力があったことは否めないだろう。