親の背中を見て子は育つ

4、意識して育てなければいけない慈悲喜捨

4つ目は、「慈悲喜捨じひきしゃ」と呼ばれる4つの心です。

①「慈」とは、友を慈しむという意味です。子どもは、自分の所有物ではなく、自分の果たせなかった夢の代償でもなく、「友」。

成長するにつれ、大切な友を慈しむように接してあげたいものです。

②「悲」とは、子どもの悲しみを、共に悲しむ心です。

子どもの悲しみを、無視したり、弱虫だと切り捨てたり、過保護にするのではなく、悲しみに寄り添う心。子どもの悲しみを、自分に引き合わせて理解しようと努める心。

それが悲の心です。

③「喜」とは、子どもの喜びを、共に喜ぶ心です。

子どもの喜びに、嫉妬したり、バカにしたり、過剰に金品を与えたりするのではなく、素直に寄り添う心。それが喜の心です。

④「捨」とは、「じっとしている」心です。

かわいさあまって過保護にしたり、心配のあまり口を出し過ぎたり、イライラしたり、興奮したり……。とかく親は、子どものこととなると、「過ぎる」傾向にあります。

そこをこらえて、じっと見守る。それが捨の心です。

慈悲喜捨の心は、愛情とは違い、意識して育てないと育ちません。

仏教では、子どもに対してだけでなく、自分の家族や友人、知人、隣人にも、慈悲喜捨の心を広げていくよう、教えています。

親自身が慈悲喜捨の心で、家族にも、他人にも接している姿を見て、子どもは他人とどう関わればよいのかを学んでいくのです。

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5、わが子が自らの道を歩けるように子離れすべき

子育ての最終目標は、自立です。頭では分かっているけれど、実際はなかなか子離れができない親がいます。

とくに母親は、「心配」という大義名分で、子どもを自分の懐に囲いこんでしまいがちです。けれども、子どもは自分の所有物ではありません。

子どもは、子ども自身の人生を歩んでいくのです。

わが子に、親よりも大切にしたい人ができ、その人と自分の家庭を築いてゆく。

そのとき親は、何とも言えない寂しさに襲われるかもしれません。

けれども、そこを親自身が越えていかなければ、子どももずっと親離れができないのです。