赤面症の人には「顔が真っ赤でもいい」

わたしも、漠然とした不安を感じたときに、たびたびこの思考法を使います。

「講座のお客さんが少なくても1カ月くらいはなんとかなるよ」「失敗しても一文無しからまたはじめればいいじゃないか」と、自分で自分に問いかけてみる。

いったん正反対のことを考えてみると、そこからいまの自分の状態へと、自然と逆算の方向で思考が導かれて、「意外と大丈夫かも」と安心感を得られたり、「こんな方法があるかも」と、見えていなかった可能性に気づけたりできるのです。

不安を感じると、体の症状として現れる人もいます。例えば、顔が真っ赤になって汗が止まらなくなる赤面症という症状は、いったん「真っ赤になると恥ずかしい」と思ってしまうと、「どうしよう、どうしよう……」とますます不安がつのり、とめどなく不安が重なっていく状態です。

そんな少し大変なときでも、「別に顔が真っ赤でもいいや!」「汗をどれだけかけるか挑戦してみよう!」くらいに正反対に思考を振り切っていき、いまの自分の状態をとらえ直してみる。

そうすることで、不安と正面から向き合いながらも、プレッシャーは確実に軽減されていくはずです。

逆説志向は、実際にセラピーとして広く行われており、赤面症や高所・閉所恐怖症、人間関係の恐怖症(特定の人と会うのが怖いなど)を治療するためによく使われている方法です。

写真=iStock.com/SDI Productions
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振り切った思考を書き出すのも効果的

逆説志向をするには、かなりの勇気が必要ではないかと思う人もいるかもしれませんね。

確かに、不安から逃げるのではなく、むしろ不安と正面から向き合う方法なので、ハードルが高く感じる人もいると思います。

中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)

そんなとき、わたしは頭のなかだけでするのではなく、文字に書き出して行うこともあります。最悪なケースを頭で想像するだけでも、漠然と不安を感じているよりはよほどいいのですが、振り切った思考をノートに書き出し、文字のかたちで可視化すると、さらに冷静に自分を見つめることができます。

そうして少しずつステップを踏んでいくと、「意外と平気かもな」と思えるようになり、最終的には、「なるようになるさ」「大丈夫だよ」と思えるところまで意識的に自分を持っていくことができるのです。

すでに重いうつ症状の人には難しいかもしれませんが、そうでないなら、人は不安を感じるのがふつうなので、効果的なアプローチになると思います。

いずれにせよ、あいまいな不安を、あいまいな状態で抱えておかないことが大切です。人は案外、あいまいな不安につぶされてしまっている面があるのです。

たとえ先が見えなくても、逆説志向を活用しながら、「最悪の場合、自分になにが起こるだろう?」「そうならないために、いまなにをしておけばいいかな?」と考えてみる。

それだけで、自分の人生をコントロールしている感覚が芽生えてくるはずです。

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