物件の価格と価値のバランスも押さえておくべき点。利回りを重視するあまり築年数が古く安価な物件を買ったとしても、建物が老朽化に耐えなければ意味がない。リフォームで済むならいいが、建て直しだと新たに資金が必要になる。取り壊すにも、数千万円単位の費用が発生するので、ビギナーがうかつに購入するのは危険な判断だ。いまなら、平成以降の物件に留めておくべきだろう。

対象エリアについては、首都圏はいまだニーズが高く、旨みのあるエリア。東京23区であっても東部で他県に隣接する地域なら、安くてバリューのある物件がいまだ目立つ。

対して気をつけなければならないのは地方都市。数年前までのミニバブルで供給過多になっていることが多く、借り手不在の危険性が高い。どんなビジネスでも同じだが、需要と供給のバランスを無視しては失敗を避けられない。

区分所有については供給側の問題から、今後はバーゲン価格で市場に出てくるものも増えてくるだろう。先に挙げた点に注意して選べば、不動産投資のリスクを低くすることができるはずだ。

ただし、物件所有に伴う隠れたコストにも注目すること。空室期間が長引けば利回りに影響するし、築古の物件を買ったがために、修繕・リフォームコストが発生するかもしれない。可能であれば家賃保証がつく物件を選ぶべきだろう。

また、家賃収益は過分にキャッシュとしてため込まず、ローンの繰り上げ返済へ積極的に回すべき。与信が上がり、借入限度額も向上する。物件を増やしていくには効果的だ。

また、物件は買って終わりではない。購入後は運用・管理を怠らず、次の物件購入につなげるためにも、反省事項をフィードバックすることを忘れてはならない。

区分所有からコツコツと。これが、サラリーマン大家として大成する安全策ではないだろうか。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=大正谷成晴 撮影=松田健一)
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