「結婚」が減り続ける日本

歴史的に見ると、政治不安や社会不安、景気後退などは、出生率に大きく影響する。アメリカのブルッキングス研究所によれば、1929年の世界大恐慌の時、アメリカの出生率は9%落ち、赤ちゃんの数は例年と比べ40万人少なかったという。スペイン風邪の時の出生率も下がった。だとすれば、コロナが収束に向かうことが、出生数を上向きにすることができる1つの要因になるのだろう。

では、日本の状況はどうだろうか。2020年の出生数は、統計を取り始めて以来、史上最低の84万835人だった。また、2020年の婚姻組数も52万5507組で、前年から12.3%減と大きく減少し、こちらも戦後最も少ない組数となったようである。

結婚式を予定していた多くの人がコロナの影響で結婚をせず、その影響が今後出生数に反映されてくるのではないかとの予測もある。

リクルートのブライダル総研によると、毎年、婚姻を延期及び取りやめることにしたカップルは全体の約10%。しかし、2020年にその決断をしたカップルは、それより15ポイントも多い24.7%だった。

同総研の落合歩所長は、この減った分は短期的には戻ってくると考えているが、ここ数年の大きな流れである婚姻数の減少傾向は変わらないのではないかと分析する。その理由の一つが、結婚に対する考え方の多様化だ。

婚姻数が子どもの数とリンク

「30年ぐらい前の日本は、男女ともに95%の人が結婚していて、結婚するということがある意味当たり前だった。今は50歳の男性の4人に1人が一度も結婚していない」と落合所長は話す。「今は、どんなふうに生きていくのかとか、どんなふうに人生を過ごすかという価値観が多様化している。結婚すること以外に、自分の人生の中で大切なことがある人もいれば、逆に家庭を持つことを優先する人もいる。色々な考え方が出てきたことが、全体の婚姻数に影響していると思います」

確かに2015年の統計では、50歳まで一度も結婚したことのない人の割合をあらわす、いわゆる「生涯未婚率」は、男性では23.37%、女性は14.06%となっている。そういえば私が20代の頃は、「25歳を過ぎるとクリスマスケーキのように売れ残るよ」と言われていたが、今はそんなこと言う人はいない。

多様な価値観は尊重されるべきだという落合所長だが、こう続ける。

「日本では、結婚せず『婚外子』で子どもを産む人は2%ぐらいと言われています。婚姻することと子どもを持つことは、すごくリンクしている。大きな対策が取られたり、急激な社会的変化が起こったりしない限り、結婚の数の減少は、子どもの数の減少につながると予測されます」

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