認知症対応と医療行為が得意なホームは違う
ここで、考えなければならないことがあります。「転ホーム」の必要性です。認知症対応が得意なホームが、他の介護支援も得意だということは、けっしてありません。医療的な対応が苦手なホームは、現実にたくさんあります。リハビリについてまったく知識のない老人ホームも、数多くあります。皆さんは、このことを理解することができるでしょうか?
認知症は病気です。だったら「医療対応でしょう」という方がいると思いますが、たしかに、認知症を根治させる行為は医療行為ですが、多くの老人ホームは認知症を根治させることに取り組んではいません。取り組んでいるのは、認知症の高齢者を「預かれる」という行為だけなのです。
認知症高齢者を得意とするホームは、問題行動に対する知見が高く、問題行動をさまざまな経験値でねじ伏せていくことができるホームです。しかし、そういったホームが医療的な処置が得意かと言われれば、そうではありません。また、リハビリ的な行為が得意なのかといえば、それも得意ではありません。
寝たきりになったら家族のもとに帰ったほうが良い
要は、加齢や他の病状の悪化などにより認知症の問題行動が消失し、ADLが低下した高齢者に対する対応が得意であるというわけではないのです。
また、ベッド上で一日の大半を過ごす入居者の対応が得意だ、ということでもありません。それはまた違うスキルの話です。
原因が認知症だろうとなんだろうと、常時、車いす上で生活することが決まってしまった高齢者の場合、体が不自由な高齢者を得意とするホームを探すべきなのです。具体的には、リハビリテーションに力を入れているホームということになるのではないでしょうか?
ADLが徐々に低下していくと、最後は寝たきりです。皆さんは、もし自分が寝たきりになったらどうしますか? 私は、寝たきりになったら家族のもとに帰ればいいと思っています。何を馬鹿げたことを言っているのか! と思われる方も多いと思いますが、寝たきりになったら、在宅にて訪問介護などのスキームを利用すれば、対応は十分可能です。