楽天が2022年4月から、楽天市場のポイント進呈ルールを「税込」から「税抜」に改定することを発表した。それに対して「改悪だ」という批判が起きている。楽天はなぜ“改悪”に踏み切ったのか。経営コンサルタントの鈴木貴博さんが解説する――。
写真=アフロ
2021年10月18日、スマートフォンに「楽天市場」のアプリが表示されている。

「税込」→「税抜」はヘビーユーザーほど影響大

楽天が2022年4月から、楽天市場でのポイント進呈ルールについて、「税込」から「税抜」へ変更することを発表しました。一見ささいな変更ですが、このルール変更が「意外とインパクトが大きい」「改悪だ」と話題になっています。

たとえば税込1100円の買い物をした場合、これまで11ポイントつくはずだったところが10ポイントしかつかなくなるという制度改変ですが、これなら差はたったの1ポイント。1000円あたりでいえば0.1%の改悪に見えます。

しかし楽天のヘビーユーザーにとっては違います。楽天市場にはSPU(スーパーポイントアップ)というプログラムがあります。これを活用すると、楽天グループのサービスの利用度合いによって買い物をした際のポイント倍率が最大15倍まで上がるのです。

楽天モバイルのスマホと楽天ひかりのインターネット契約をしていて、楽天カードで買い物して楽天銀行で引き落とす。それで5か0のつく日で買い物をする。このような楽天のヘビーユーザーなら、ポイント倍率はあっという間に10倍を超えます。そうなると税込から税抜への変更の差は1%を超えます。だから影響の大きな改悪だと話題になっているのです。

ゴールドカードや公共料金でも「ポイント改悪」

楽天グループでは楽天カードが次々とポイント改悪を発表したことも話題になっています。そもそも今年4月からゴールドカードの楽天市場でのポイント還元率が一般カードと同じ3倍に引き下げられた際には会員からは「ひどい」と言われました。

今年6月には、公共料金でのポイント進呈基準が「100円1ポイント」から「500円1ポイント」になる変更も行っています。公共料金はカードでの支払い額が大きいのでポイントを稼ぎやすい使い道だったのですが、ポイント付与率でいえば5分の1に減ってしまったのです。

なぜ楽天はポイントを改悪するのでしょうか。そしてなぜ、ポイントを改悪しても楽天の経営は大丈夫なのでしょうか。経営者の視点で改悪にどのようなメリットがあるのか、ポイント経済圏理論について解説したいと思います。