「質問しない人は採用しない」共感重視の採用
面接では「共感してくれる人に入社してもらう」ことを重視するようにした。西口氏は、今後の目標設定をしていく中でも稼ぎたい意欲があるかを必ず聞くことにした。全員と面接し、共感してもらえているかを見極めるという。
「私がビジョンを話して、面接者の目が輝くか、興味がなさそうかを大事な基準にしています。やはり会社の言うことに共感してもらえるか、その会社が目指すもの、言っていることに納得できるかが大事ですから。それなしに働くのは、会社も本人も喜ばしい状態ではないでしょう。また、私が会社の大事なことを話して、それに関して質問がない人は、関心がない、共感ができていないと考えています」
業務の一環で花見、BBQ、飲みニケーション…
採用面接を切り替えたのと同時期に、新日本エネックスでは社員が参加する社内イベントを設けた。部署ごとや、花見やバーベキューなど部署横断のイベントを、すべて給与を払って「懇親を深める業務」としている。
飲み会などの「飲みニケーション」も実施し、会社としての部活動も支援する。釣り部、カート部など、ある程度人数が集まっているものに関しては、会社が費用を一部負担しているのだ。イベントは社員が発案するものもある。
「訪問販売の営業は、個人プレイになりがちです。社内の人もライバルだから、大事な情報は共有しない、誰かに仕事が集中しても、手柄をほかの人には回さない。そうなると、メンバー間の関係はギスギスしますし、成長も個人任せで、ノウハウや情報など会社としての財産が蓄積していかない。そこで当社は『営業のユニット制』営業担当者を小さなチームに分けて、団体での達成を大事にしてチームの和を保つようにしています」
「会社も成長し、大きな組織になってきていますから、そうなると自分の関わる部分が減り、責任感が薄くなると感じる人が増えてきます。そこで、ユニット全体での目標を定め、みんなでそれを目指す形にしました。『チームで』にしたことで、離職率が低下しました。仕事を自分ひとりでやっていない、ほかの人にも見てもらえている感覚が、従業員満足度が高まりやすいのです」
新日本エネックスがイベントを多々、業務として行うのは、社員の家族の理解を深めることも目的としてある。
「この仕事はどうしても平日の夜や土日に稼働することが多く、仕事を優先するとプライベートが犠牲になりがちです。『会社が好きだし仕事も気に入っていますが、家族との時間を取れないので辞めます』という声が多くありました。そこで、会社の主催イベントには家族の参加もOKにしました。その費用も会社負担です。家族も一緒のイベントは、家族の仕事への理解も進みます。家族に『大事な休日にお父さんを会社に取られた』と思われると『家族のためにその会社を辞めてよ』と会社、仕事が敵になりがちです。家族も会社のイベントに入ってもらい、いわば家族も当事者にするのです」