日本は長寿食材を多く食べているが塩分が多すぎる

香港は移住者の多い都市です。共産中国の時代、多くの人が香港に移住してきました。その結果として中国各地の長寿食の知恵が香港に集約しているのです。

それは庶民の食文化としてしっかり根付いています。冷戦終結後、経済のグローバリゼーションが起こっても、香港はその波に押し流されることなく、独自の伝統食を守ってきたのです。

家森幸男『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』(集英社インターナショナル)

調査に行って香港の元気な高齢者を見たとき、「これではいずれ日本は香港に負けてしまうだろう」と直感的に思いました。野菜、果物、魚、大豆といった長寿食材を摂取していることでは、香港も日本も一緒です。しかし日本のほうが塩分が多いのです。

日本人は醬油などで塩分を多用するため高血圧になり、脳卒中が多くなってしまうのです。また、日本では、特に高齢の独居男性では孤食や外食が多くなっています。塩分摂取はおのずと増え、人との交流や笑う機会は減っていきます。これでは長寿からは遠ざかる一方です。

残念ながら私の予感は当たってしまい、その後、日本は香港に抜かれ、長寿世界一の座を譲り渡すこととなりました。

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