来世はスウェーデンに生まれたくなる
【アル】海外ではクオータ制を導入して女性議員がどんどん増えてるのに、日本は置いてきぼりですよね。政治家が堂々とLGBT差別発言をして処分もされないとか。
【田嶋】最悪だよね。
【アル】最悪ですよね。スウェーデン在住の女友達から聞いたんですが、スウェーデンでは学校でも職場でも、人種差別やジェンダー差別的な発言をしたら処罰されるそうです。個人のモラルだけに頼るんじゃなく、ちゃんと罰則を作ってる。日本とのあまりの違いに、来世はスウェーデンに生まれたくなりました。
【田嶋】でもね、最初は違ったわけよ。スウェーデンやノルウェーやアイスランドも、昔は男の政治家や大臣ばっかりだったけど、全部自分たちで変えたんですよ。きちんと骨の髄まで民主主義を学んで、ジェンダー学んで。学校で教えてるでしょ。
【アル】スウェーデンでは保育園から人権教育やジェンダー教育をして、民主主義の根本を教えるそうです。
【田嶋】その努力を日本はしてないでしょ。日本の民主主義は戦後に与えられたもので、自分たちで努力して勝ち取ったものじゃない、というのが言い訳だけど、それにしても、もう戦後75年以上たっているんだから、自分たちでなんとかしないと。ジェンダー問題だってそう。
【アル】たしかに……。医大の不正入試があった時に「韓国だったら何十倍の規模でデモになってるよ」と韓国人の知人に言われました。
怒りは政治にぶつけなきゃ
【田嶋】私に言わせれば、フェミニズムは、人間であることを忘れた人間が元の人間に戻るだけ。そのうえで女も男も住みやすい新しい社会を作る、それだけのことなんですよ。生まれた時に私たちは人間だったのに、女は女らしくと育てられて、男に便利な女というものに作られていっちゃったわけ。だからフェミニズムというのは、人間本来の存在に戻るための手段みたいなもの。
【アル】私は中高と女子校だったんですが、男のいない世界では「ただの人間」でいられました。そこから共学の大学に進んで、男尊女卑に殴られました。女子校では「堂々と意見を言おう」と学んだけど、大学で堂々と意見を言うと「女のくせに生意気だ」と叩かれて。
【田嶋】ひどいなあ。なんだおまえら、穴と袋のくせに生意気言いやがってって、そういうことでしょ? いっちょまえの口きいて、みたいな。
【アル】穴と袋に言葉はいらないってことですよね。そういうこと言う男子って、わりと男子校出身が多かったんですよ。だから今思うと、女子校はホモソーシャルからの避難所で、男子校はホモソーシャルの養成所なのかなと。男性が集まるとホモソーシャルの圧がすごく強くなりますよね。
【田嶋】うーん。ただ、中高生になる前に、その人たちは家庭や学校で作られちゃっているんだよね。だから女子校、男子校に入った段階では、ある意味、男社会のミニチュアを生きることになる。もう遅い。先にジェンダー教育とかがないと。
【アル】先生はずっとテレビで発言されてましたけど、いまだに芸能人が政治批判すると「芸能人が政治を語るな」とバッシングされるんですよ。特に女性の歌手やタレントさんが発言すると「ろくにわかってないくせに」とか。
【田嶋】職業差別、女性差別ですね。