「試合を夕方に」と選手が訴えるほどの暑さ
何とも哀愁漂う寂しい船出となった東京五輪だが、元々は安倍晋三首相(当時)らの「嘘」で招致にこぎつけたことが、今回の五輪の不幸の始まりだった。安倍首相は2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたIOC総会でこう演説した。
「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」
汚染水はいまだに統御されておらず、「アウト・オブ・コントロール(制御不能)」であるこというまでもない。
さらに東京都は、夏に開催することについて、「この時期の天候は晴れることが多く、温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスできる理想的な気候」と抜かしたのだ。
酷暑に多湿。早速、テニスのノバク・ジョコビッチ(セルビア)らが、「暑すぎる、試合時間を夕方に変更してくれ」といい出しているが、当然のことである。
いっそのこと室内競技以外、すべての競技を夕方から深夜にしたらどうか。無観客だから選手たちが同意すればできるはずだ。放映権を持っているNBCに気兼ねして、熱中症で倒れる選手が続出したらどう責任を取るのか。
復興五輪も消え、コロナに打ち勝つこともできず、無観客で外国からの観光客もゼロでは、「お・も・て・ナシ」である。
“ぼったくり”で儲けたバッハ会長の「野心」
日本人の多くが、東京五輪開催がコロナ感染拡大につながらないか不安でいる中、菅首相だけは開催にこぎつけたことをよろこんでいるようだが、不吉なデータがあると毎日新聞(7月24日付)が報じている。
前回の東京五輪のときの首相は池田勇人だったが、開会式1カ月前にがんのため入院療養させられた。開会式には入院先の許可を取って出席するが、翌日辞任を表明。翌年死去。
1972年の札幌五輪のときは佐藤栄作首相だったが、3カ月後に沖縄返還を実現して6月に退陣を発表した。
1998年の長野五輪は橋本龍太郎首相。五輪は日本の景気回復に役立つと期待したが、大会の5カ月後の参院選で自民党が大敗して、引責辞任に追い込まれた。
そして極めつけは、東京五輪が開催されるはずだった昨年、安倍首相が持病の悪化を理由に辞任したのである。
菅首相の場合は橋本ケースに当てはまるかもしれない。
一将功成りて万骨枯るの図である。東京五輪を開催すれば成功不成功に関わらず、日本やNBCから“ぼったくり”できると高笑いしているのはバッハIOC会長だけであることは間違いない。
だが、功成りカネを儲けたバッハIOC会長には、もう一つの「野心」があると週刊文春(7月29日号)が報じている。