余りガネが流れ込み株価は3万円台に

冒頭にお伝えしたように、株価はコロナ流行下で、大きく値を上げました。日経平均株価は、ラグビーワールドカップのあった2年前の2019年2月末には2万1385円だったものが、その2年後の2021年2月には、なんと3万円台を記録しています。1990年以来、実に30年ぶりの大台復帰です。なお6月現在は、少し下がって2万8000円前後ですが、これは暴落の始まりというよりも、一進一退の局面に入った印象です。

おそらく株価は、しばらくはこの高止まり状態のままでしょう。実体経済が不況(デフレ)の中、コロナ対策の金融・財政緩和がまだまだ継続されそうなことを考えると、今後しばらく「デフレでモノが安いのに、緩和マネーがあふれ返る」状況が続きそうです。

そうすると、必要なモノを買っても個人も企業もカネが余るわけですから、必然的にその余りガネが、株や土地などの資産への投資に流れ込んでくるものです。投機的に買う人も少なくないでしょう。しかもコロナのせいで、この実体経済の不況とカネ余りは、世界的な現象です。ならば外国人投資家も同じ思惑で動くでしょうから、この現象はしばらく続くでしょう。

住宅ローン金利の安さから不動産ブーム勃発

不動産も別荘から中古マンションまで、非常に売れています。これは、都市部の感染状況悪化とテレワーク普及で郊外脱出組が増えたこともあるでしょうが、一番の理由は「カネ余り+史上最低の住宅ローン金利」と考えられます。

住宅ローン金利は、アベノミクスの異次元金融緩和より下がり続け、さすがに下げ止まったかなと思ったところに、コロナ緩和でさらに下がり、2021年5月現在は「変動金利で0.4~0.5%、全期間固定金利でも0.9~1.0%ぐらい」という驚きの安さになっています。

総務省発表の「2020年人口移動報告書」によると、東京都の人口移動は下半期ずっと「転出超」でした。つまり、まず「三密の都心を離れたい+テレワーク普及で都心に住まなくてよい」人が増え、そのタイミングでカネ余りに史上最低の住宅ローン金利……。これはもう、東京近郊で不動産ブームが起こらないほうがおかしいのです。

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2020年の最初の緊急事態宣言時、安倍総理は「テレワークの導入で、通勤者の7割削減」を呼びかけ、多くの企業が実施しました。あれを経験したことで、多くの人々が「自宅でも仕事をこなせる」ことに気づきました。ならば無理して三密必至の23区内に住まなくても、埼玉・千葉・神奈川のほうが住環境もいい。もっと言うなら、「たまに本社+遠くても交通費支給」の会社なら、「新幹線で約1時間前後」の近隣リゾート地である熱海・軽井沢・越後湯沢などに住むという大胆な選択肢もあります。

また逆に「都心のど真ん中のマンション」というのもありだと思います。なぜなら緊急事態宣言下でも通勤が必要な人にとって、せめて電車での感染リスクを減らすために「職場に歩いて(or自転車で)通えるマンション」という選択肢も出てくるからです。

とまあ、ここまでは実際に「住む」ことを考えてきたわけですが、そういう思いの人が多いということは、投機物件として不動産を買うのも魅力的、ということになります。