ネガとポジ2つのモチベーションが大事
【西岡】いい目標に出合えることも大事ですよね。
【岡崎】高校2年生の僕の状況が絶望的だったから、東大がキラキラした目標に見えたというのもある。バスケをやめてしまったという劣等感を、東大に行くことでチャラにしたかったんです。
【西岡】一発逆転合格した子の話を聞いていると、岡崎さんのように「東大生ってかっこいい」などのプラスのモチベーションと、「部活をちゃんとできなかった」などのマイナスのモチベーションの両方を持っている子が多いですね。
僕の場合は親だったり先生だったり「信じてくれる人がいる」というのがプラスのモチベーションで、「今までグズグズだったのでどうにか変わりたい」というのがマイナスのモチベーション。でも両方あるほうがいい。
なぜかというと、たとえば模試の結果が出たときに「自分なら行けるかも」とプラスに思う半面、「いや、これぐらいじゃダメだな」とマイナスに思わないと馬力が出ないから。一発逆転合格するには、両方必要なんですよね。
方向は示すけど、レールはひかない
【西岡】『ドラゴン桜』に矢島という子が出てきます。矢島の兄2人は小さいときから成績がいい。親が喜ぶから、と勉強してきた優等生タイプ。一方、本人は落ちこぼれなんですけど、桜木と出会ってスイッチが入り、自分のために勉強しはじめて1浪の末、東大に入るんですね。一発逆転合格する子は、矢島タイプで自分のために勉強する子が多いと思う。その場合、試行錯誤するので気が付くのに時間がかかりますが、スイッチが入れば急成長するんですよ。
あと一発逆転合格した子の親は、子供の人生にレールを敷くのではなく、道は示すけど荒野に放っている。「目指す方向はこっちだけど、道は自分でつくるんだよ」っていう感じですかね。そうすると、子供は最初は、あちこちぐるぐる回って遠回りもするんだけど、「あ、こっちだな」とピンときたら、そこに向かって走りだす。その“こっち”が東大の場合もあるし、それ以外の場合ももちろんあります。