ウイグル人弾圧をめぐる対中制裁に日本は加わらず

さらに産経社説は「バイデン米政権は、米中対立を『21世紀における民主主義と専制主義の戦い』と位置付け、人権重視の外交姿勢を示している。欧米諸国はウイグル人弾圧をめぐって対中制裁に乗り出したが、日本政府は加わらなかった」と指摘し、最後にこう主張する。

「これではいけない。菅義偉政権や国会は天安門事件の真相究明とともに、現代中国の人権弾圧を阻む行動に乗り出すべきだ」

いかにして人権弾圧を続ける中国・習近平政権に効果的な圧力を加えるか。日本を含む民主主義国家の協力が求められている。

「歴史を継承する自由が奪われようとしている」と毎日社説

6月5日付の毎日新聞の社説は「天安門事件と香港 歴史の継承許さぬ弾圧だ」との見出しを立て、まず香港の様子についてこう指摘する。

「関連資料を展示する『天安門事件記念館』も休館した。香港当局から『無許可営業』の疑いをかけられたためだが、『政治的圧力』と指摘されている」
「昨年6月末に施行された香港国家安全維持法(国安法)が、民主化を願う特別な日を一変させた」

香港政府は習近平政権の傀儡である。記念館を休館に追い込むなどわけない。中国は法律に基づいた規制であれば、国際社会が反論できないと考えているのだろう。そもそも民主化を無視した国安法を制定すること自体が問題なのである。

毎日社説は中国本土の様子にも言及する。

「中国本土では、共産党批判に直結する事件の記憶は封印されている。インターネット上の関連情報は独自の規制で遮断され、存在すら知らない若者がいる」

欧米の民主主義国家が、天安門事件での中国政府のむごいやり方を伝えるべきだ。同じアジアに生きる日本の菅政権にその先陣を切ってもらいたい。

毎日社説は「歴史を継承する自由が、国安法によって奪われようとしている」とも指摘するが、歴史が継承されない国は必ず滅ぶ、と沙鴎一歩は考える。