「45歳定年」を余儀なくされる人生き延びる人の特徴
加えて冒頭に述べたようにコロナ禍のビジネスモデル変化に応じた専門人材を外部から積極的に採用していこうという企業が増えている。そのためにも50歳以降ではなく、40代の早いうちから新陳代謝を促していく方向にある。
実際に早期退職優遇制度を設ける企業が徐々に増えている。米系人事コンサルティング会社のマーサージャパンの調査(2020年8月19日)によると、早期退職優遇制度がある企業は、2018年は27%だったが、20年は35%に増加している(早期退職優遇制度のみと早期退職優遇制度・希望退職制度の両方がある企業の合計)。
企業は着々と布石を打っている。かつて東京大学の柳川範之教授が著書の『日本成長戦略40歳定年制』(さくら舎)で40歳定年制を提唱し、賛否の議論を巻き起こす大きな論争になったことがある。
ポストコロナをにらんだ大企業の一連の動きは、まさに“45歳定年制”が現実のものになりつつあることを示唆している。
ちなみに柳川教授も参加する政府の経済財政諮問会議の有識者議員はこの4月13日の会議で「成長性の高い分野への人材の円滑な移動の促進」を掲げ、「大企業で経験を積んだ人材の円滑な労働移動を支援し、中小企業や農業等の輸出拡大につなげるべき」と提言するなど企業の動きを誘導している。
45歳の節目で退職勧奨の選別を受けることになれば、20代や30代も決して安閑としてはいられないだろう。
同期入社の社員だけではなく、外部の中途社員との競争が激化することは必至である。競争に負けた者や、仕事しない人、お荷物になる人、業績に貢献できない人は組織で生き延びることは難しくなるだろう。
テレワークなどの自由度の高い働き方は企業が与える単なる「福利厚生」ではない。管理職や上司の厳しい目がなくても自主的に動き、今まで以上の成果を発揮することが求められるのだ。