生活文化の違いや食事マナーについ…

本当に日常の細々としたことに口うるさくなっちゃったんですね。で、それがいいお母さんだと思ってたんです。で、やっぱりいいお母さんとして認められたいという気持ちが人一倍強かった。(三十代・初婚継母)

継子の食事のマナーはひどいものだった。だから「直します」ときつく言った。結婚するまで料理なんてできなかったから一生懸命作ったのに、食べてもらえなくて腹が立ってしまった。「おばあちゃんのとこではこんな料理は食べたことがない」とか言われて……(三十代・初婚継母)

写真=iStock.com/Demianastur
※写真はイメージです

私が許していないことをこちら(それまでの夫の家庭)では許されていたりとか。(中略)寝る前にジュースを飲むとか、自分でやらなきゃいけないことというのを大人に「やって」と言ってくる。(継息子は)私にも言ってくるんですけど、私は「自分でやれることは自分でやりなさい」ってしてあげないんですけど、そうするとお父さんがしちゃうんですよね。(三十代・再婚継母)

「厳しい」「冷たい」と感じさせる背景

再婚初期はとくに、継親よりも実親子のほうが関係の歴史は長く、以前の家族経験のなかで生活をともにしてきた夫(同居親)と継子のあいだで深い愛着や習慣、価値観が共有されているのは当然のことです。ステップファミリーとなるまで祖母が孫育てを引き受けていたケースもあります。夫や祖父母は気づかないけれども、途中から継子育てを引き受ける継母は、あいさつのしかた、食事のとりかた、ダイニングでの座り方、お手伝いの順番など、生活の細かいところに家族文化の違いがあると気づきます。

必要以上に甘やかされているように感じたり、しつけが行き届いていないと感じられたりすると、「いい母親」になろうとして継子を厳しくしつけ直そうとします。別のインタビュー対象者は、継母によるしつけを「厳しい」「冷たい」と感じていたと語っていましたが、その違和感は継母が「母親」であろうとして背負ったプレッシャーによるものだったのかもしれません。しかし、継子からすれば、今まで許されていたことが許されなくなったり、生活をコントロールされているようにも感じられ、継母に激しく反発するきっかけになります。