1時間を超える通勤は失業と同じくらいネガティブなインパクト
あなたの通勤時間は片道何分ですか? ちなみに、私の通勤時間は0分。
主に自宅の書斎で仕事をして、ミーティングもオンライン会議サービスのZoomを使っているので、講演会や講座などの仕事を除けば日々の仕事はほとんど自宅で事足ります。
新型コロナウイルスの影響で在宅ワークとなり、通勤時間がなくなったり、時差通勤で満員電車を回避する生活を体験した人もいるかと思います。その際、ストレスの軽減を感じた人も多いことでしょう。
カナダのブリティッシュコロンビア大学准教授のエリザベス・ダンなどによれば、通勤に片道1時間以上かけることは仕事での幸福度にネガティブなインパクトを与えるといいます。しかも、そのインパクトは失業した時と同じくらい(!)といいますから……。
夢のマイホームを郊外に買い、通勤時間が片道1時間以上かかるようになった……というのはよくある話ですが、マイホームを買って幸せになったと思いきや、通勤時間のネガティブインパクトで、「思っていたより幸せではない」という人も多いはずです。
また、「通勤時間が0分から22分に増えたことによる幸福度の低下を相殺するためには、通常の収入の3分の1が増えなければ効果がない」というスイスのチューリッヒ大学の研究結果もあるくらいです。
通勤時間の短縮は企業業績を上げる
仕事で不満を抱えていたり、ストレスを感じていたら、まずは通勤時間を短くしたほうが早いかもしれませんね。
「そう言われても、急に“じゃあ短くします”なんてできないでしょ!」
……確かにそうかもしれません。でも、最近では「通勤をしない」、もしくは「通勤時間をラッシュ時からずらす」という取り組みを始める企業が増えています。
そしてその取り組みは、そこで働くスタッフのストレスを軽減するだけではなく、実は会社の業績向上にもつながっているのです。そんな事例が日本にもあります。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社が2016年7月から始めた「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)という取り組みがあります。
これは、「働く場所・時間を社員が自由に選べる」という人事制度。その主な取り組みは、私たちが働いている環境と比較すると少し驚くかもしれません。
会社員なのに通勤時間ゼロを実現した方法
「会社勤めの私には無理な話……」と思うかもしれませんが、実際に私の生徒で、会社員であるにもかかわらず通勤時間を減らすどころか“ゼロ”にしてしまった例があるのでご紹介しましょう。
40代女性会社員のHさんは、週5日、8時間勤務で働いていました。副業OKの会社ということもあり、空いた時間で心理カウンセラーとして活動していました。次第にお客様も増えたため、有休などを使い、平日も心理カウンセラーとして活動するようになりました。ただ、有休を使っても平日に会社を休むことに後ろめたさを感じてもいたといいます。
そこで、上司に「週5勤務から、週4勤務に勤務形態を変更できないか?」と直談判。何度も交渉することになりましたが、結果として業務内容は変わらないまま週4勤務。つまりは、丸1日分の往復の通勤をなくすことができたのです。
最初からここまでの成果は無理かもしれませんが、「会社員には通勤時間を短くするなんて無理」という考えこそが、「自分を苦しめる原因となっている正しいと思い込んでいること」かもしれませんね。
通勤時間を短くできないのであれば、2週間に1回、平日に有休を使うなど、会社に行かなくてもいい行動計画を立ててみましょう。