コロナ下での財政出動も同じ。「国際通貨基金(IMF)の集計によると、財政支出や金融支援を含む日本のコロナ対策はすでに国内総生産(GDP)比35%に上り、米国の14%を大きく上回る」(11月2日日経新聞)そうだ。ところが、16日発表の7~9月期の実質GDPは、前期比年率換算で21.4%増で米国の33.1%、ユーロ圏の60%増にはるかに劣る。財政出動が意味をなしていない。

日本経済が断トツのビリ成長を続ける理由

この30年間、私は日本が経済低迷をしている根本理由を、社会主義的経済運営のせいだ、と主張している。これは米国に留学し、英国で働き、米銀で15年間にわたって働いてきた経験からの実感だ。

私の外国人の部下たちは、皆「日本は世界最大の社会主義国家だ」と言って帰国していった。日本で生活し、働いた上での感想だ。彼等の間で交わされていたジョークは「日本人が中国人に『社会主義のままでは発展しませんよ』と助言したところ、『あんたの国からだけは言われたくない』との反発を食らった」というものだった。

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社会主義的経済運営を「真の資本主義的運営」へと大改革することこそが必要だ。これが日本にとって重要な戦略だ。どこをどう変えるべきかは、いずれ発表したいが、字数の関係もあり、またの機会としたい。戦略のほかに、日本経済復興のための戦術もある、今回は、その戦術について述べたいと思う。

円高がこの30年間の日本経済低迷の重要要因

安倍政権のブレーンとなる前の、イェール大学浜田宏一名誉教授と議論をしたことがある。雲の上の人のような存在の先生だから感激したものだ。本屋で拙著『なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか』(幻冬舎)を先生が偶然見つけ、購入されて、この本の著者と会いたいとおっしゃたことで友人を通じてセットされた場だった。

そこで、先生は「『日本の30年間の経済低迷の主因は円高』と主張しているのは君と私だけだ」とおっしゃり、寿司屋で2人で痛飲したものだ。

ただ先生が、「円高を解消するために異次元緩和が必要だ」とおっしゃったのに対し、私は「先生が生活し、教えている米国ならば異次元緩和で自国通貨安を導けるかもしれないが、日本は市場原理が働いていない。したがって異次元緩和では円安を達成できない。副作用が大きすぎる」と主張した。円安導入の方法では意見が大きく異なったのだ。