JRバス関東のようなバス会社は新規路線を増やしたり、バスを増発するにも認可が必要だ。一方、ツアー会社は停留所などをつくらなくてもよく、旅行商品として深夜バスを走らせることができる。そうした理由からツアー会社が運行する深夜バスは対前年比で200%増といった数字を発表することができるのだ。

(2)の深夜バスの多様化だが、規制緩和の結果、バス会社、ツアー会社ともに柔軟な運賃施策の設定、そして車内設備を充実できるようになった。


東京―大阪間バス運賃比較表

運賃でいえば従来は年間を通して同じ価格だったのが、閑散期には運賃を割り引くことができるようになったり、また飛行機でいう「早割」のような、早いうちに買っておけば安い値段で乗車券が入手できるような運賃体系になった。

さらに座席の配列も変わった。

「昔の夜行バスは3列の座席しかなかった。それが02年以降は2列座席のようなゆったりした席の配置や、逆に価格を抑えた4列座席も可能になったのです」(高橋部長)

こうして、運賃が柔軟になり楽な座席も増えたため、深夜バスの人気は徐々に高まっていった。そして昨今、人々が節約志向になり、安価な交通機関としてバスが脚光を浴びるようになったのである。

「不況になってから増えているのは女性客とビジネスマンですね。もともと深夜バスといえば主に学生が使っていたのですが、いまでは女性やビジネスマンが賢い使い方をするようになってきています。女性の場合は首都圏で開催されるコンサートを見に行くのに利用し、帰りは深夜発の便を使う。そうすれば会社の休みを取らなくともコンサートを見に行くことができます。ビジネスマンの場合は仕事が終わって、一杯飲んでから出張先に向かうといった使い方でしょうか」

利用が増えた女性客のためには専用の深夜バス「レディースドリーム号」(東京―大阪・京都・名古屋間)がある。恋人以外に寝顔を見られたくない人はそれを利用すればいい。