諸悪の根源は「競争させない教育」
そんな語学力抜群のビジネスマンを、BRICsの次のVISTA、さらにその下の新興国100カ国ぐらいにそれぞれ飛ばして国別の専門家を養成するシステムを10年前からスタートさせている。だから韓国企業はどこの新興国の市場にも明るい。
今の韓国は10年前とはまるで違う国になっている。勝ち組と負け組の格差や大企業志向がますます強まって、中小企業に人材や技術が滞留しないなど、光と影のシビアな問題はあるが、韓国のエリートが世界で存在感を高めているのは確かだ。これから先、グローバル企業のアジア本部長に誰がなるかといえば間違いなく韓国人だろう。日本人は韓国人の上司にレポーティングするのが関の山だ。
かろうじて歯止めをかけるとしたら台湾人。台湾人は中国語と英語、さらには日本語をできる人も珍しくないから、国際的な舞台では圧倒的に強い。しかも成長やむことを知らない大陸(中国)を経済的に支配するビッグチャンスということで、ちょうどイギリス人が新大陸アメリカに渡った頃のような高揚感を今の台湾の人々からひしひしと感じる。
6月に中台の二国間で経済協力枠組協定(ECFA)が結ばれた。この企業の相互乗り入れを認めるECFAに最も賛成したのは台湾の銀行。規模では中国の銀行のほうがはるかに大きいものの、ノウハウでは負けない自分たちが大陸でオペレーションを担うことができるという思惑があるからだ。メーカーにしても銀行のようなサービス業にしても、今の台湾企業は戦うスピリットを持っているし、今年の大卒の半数近くは大陸での就職を希望している。
こうした中台の結びつきに強い危機感を抱いているのが韓国。韓国のメディアでは、連日のように「チャイワン(中台の企業連携を示す合成語)の脅威」が報じられている。