アマゾンで売っている2万1000円の棺桶で、家族を直葬したという人の投稿が話題を集めている。実際にそんなことは可能なのか。ノンフィクション作家の菅野久美子氏が、直葬を扱っている葬儀社に聞いた——。

火葬のためには「棺」のほかになにが必要なのか

アマゾンで売っている2万1000円の棺桶を買って、直葬したという人のレビューがTwitterで話題となっている。

果たして素人が2万1000円の棺を買い、火葬まで済ませることは可能なのだろうか。

私自身、自分の親世代たちが、戒名だ、なんだと、さも当然のごとく何百万円も葬儀費用をむしり取られるのをまざまざと見せつけられてきた。ロスジェネ世代としては、そんな金があるなら、少しでも後の世代に残すべきで、だからこそ、身内や自分の葬儀はアマゾンの2万1000円の棺を使ってお金を掛けずに最低限度で執り行えないものか、という考え方には共感できる部分が多かった。

しかし、実際はどうなのか。私はこれまでさまざまな葬儀業者と話をしてきたが、このような自分たちだけで道具をそろえて行う方法について語れる人はいなかった。

そんなときに、ある終活関係者を通じて知り合ったのが、近藤純一氏だった。近藤純一氏の運営する『葬儀24ドットコム』は、9万8000円という火葬プランを打ち出している。

ユーザーの8割が9万8000円の激安プランを選択

話題になったアマゾンの棺代は2万1000円だが、これに3000円の送料がさらにかかる。お骨を納める骨壺を約5000円と仮定した場合、棺と骨壺だけでも3万円近い。

一方、近藤氏の火葬プランは、こういった棺や骨壺に加え、遺体の搬送や役所の手続き、火葬場の予約、焼香用具、納棺とセレモニーのスタッフ代が含まれている。ユーザーの8割はこの激安プランを選択するのだという。

例えば、「江戸川区在住 瑞江葬儀所」の場合、葬儀費用は19万8940円(税込。以下同)だ。内訳は、火葬プランの10万7800円に加えて、オプションとして遺体保存のドライアイスと防水シーツが2万2000円、さらに都内は民営の火葬場が一般的のため、火葬料6万1000円と安置所の使用料8140円が必要となっている。ロビーではなく控室で待機する場合は、控室料1万200円が別途かかる。また、公営の火葬場なら無料で火葬できる場合もある。