原則④「5%社員」の73%が「意識変革」はしない

■「5%社員」は行動から変える

「行動を変えるためには意識を変えないとダメ!」と主張する自己啓発本が多々あります。しかし、「意識が変わらないと行動を変えられない」というのは間違いです。意識を変えるのは必要です。ただ、それをじっと待っていても何も起こらないことを「5%社員」は理解しています

調査対象企業では、意識を変える必要性をトップダウンで言い聞かせ続け、2年後に意識と行動が現場で自発的に変わったというケースが8%しかありませんでした。トップダウンによる意識変革は必要条件であって十分条件ではありません。

■「5%社員」は内省し、具体的メリットを周囲に伝え、共感を得る

29社のクライアント企業に対し、毎月何かしらの新しい行動を強制させました。すべての社内会議を45分に設定したり、他部門のプロジェクトチームとの連携を強制するなど、「行動実験」を行いました。

「5%社員」たちにも、こうした行動変容に対し抵抗を示す人が多数いました。しかし彼らは「内省」する習慣を持っていて、行動を変えたことによって自分にメリットがあるかどうかを判定します。そのうえで意義・目的が理解できれば、行動実験を継続していきます。

写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
※写真はイメージです

さらに「5%社員」は、その行動実験の結果が「よい」と感じると、同僚に広める傾向にありました。「もともとは自分自身も抵抗があったが、実際にやってみたら作業時間が8%減った」などと、具体的なメリットを相手に伝えて共感を得ようとします。

「~すべき」と正論をかざしても相手は動かないことを、「5%社員」は理解しているのです。

原則⑤「5%社員」の68%が常に「ギャップ」から考える

■「5%社員」はまずスタートし、行動しながら修正する

「5%社員」は目的を達成することを山登りのように捉えています。はじめに山の頂きを意識し、今自分がどの位置にいて、どれぐらいの時間とコストをかけて頂上に到達するかを逆算し、そこに対して行動を起こしていきます。

「5%社員」は最低限の計画、つまり「旅のしおり」を作り、まず動き始めます。頂上を意識してコンパスを見ながら正しい方向に向かっていても、途中で「内省」することで行動を修正し、最終的に頂上に到達することを目指します。

■「5%社員」はギャップを埋めようとする

顧客へのプレゼンテーションにおいて、情報を伝える発表者と、時間を無駄にせずに効率的に情報を得たい顧客とでは、その目的にギャップがあります。

「5%社員」は事前に顧客のニーズ(需要)をしっかりつかみ、それと自分たちの要望を近づけて情報を供給しようとします。そのため、「5%社員」は一般社員よりも事前ヒアリングを徹底する傾向があります。

プレゼンテーションの最後に行われる質疑応答の準備も抜かりありません。相手が質問しやすい空気を作り、その質問に的確に答えることで「需要と供給のギャップ」を埋められることを理解しているからです。