この対立構造、まさに現在のニッポンの姿を表している!
これまでのあらすじはこうだ。半沢の出向先であるセントラル証券に、IT企業・電脳雑技集団(以下、電脳)によるベンチャー企業・スパイラルの大型買収案件が飛び込むも、アドバイザリー契約を電脳側から突然解除。その背後には、セントラル証券の親会社・東京中央銀行の私利私欲にまみれた指図があった。これを知った半沢はスパイラルと契約。東京中央銀行に戦いを挑み、勝利する。しかし、このままではメンツがつぶれる東京中央銀行は、三笠副頭取(古田新太)の後押しによって、スパイラル株を買収するために電脳への500億円もの追加融資を強引に進めようとしていた。
私利私欲にまみれた、電脳と東京中央銀行はズブズブの関係だ。それに対抗するのは日本の将来を担う若きベンチャー企業と、セントラル証券の半沢。この対比はまさに、今の日本を表しているではないか!
窮地に立たされた半沢だが、電脳が粉飾決算を隠蔽していたことを突き止め、500億円融資をギリギリのところでストップした。東京中央銀行を救った立役者として、半沢は本店への復帰を果たした。
スパイラルの買収は、ライブドアのニッポン放送買収やん
さて、ここからは少々、金融業界の人間として感じたこと思ったことなどを紹介していきたい。作中では電脳がスパイラルの株を30%取得し、敵対的買収を仕掛けた。これは、2005年に「ライブドア」が「ニッポン放送」の株式を35%保有し大株主となり敵対的買収を仕掛けた実話を基にしているようにも見える。このライブドア事件を懐かしく思い出しながら見ている視聴者も多かったようだ。
また、取引の前に、東京中央銀行の三笠副頭取がスパイラル株を保有する創業メンバーにプレミアムを付けた価格を提示していたが、現実世界では、時間外取引だと市場株価に7%のプレミアムしか付けられなく、投資家側からすると正直そこまでおいしくない。ドラマなので仕方がないが、金融関係者としてはツッコミたい部分だ。
その後、ドラマでは、スパイラルがフォックスと手を組み、その支援表明の発表記者会見に登場した「スティーブ・ジョブズ」と「ビル・ゲイツ」を足して2で割ったような、マイクロデバイス社のジョン・ハワード氏が3億ドルの出資をしてくれると宣言。金融・スタートアップに所属している人間からすれば、ジョブズが日本のベンチャー企業に投資することはとても現実的とは言えず、またそこの詳しい経緯も描かれていないことから、ここも「ドラマっぽさ」を感じた。