金に対して価値が上昇した通貨は「円」だけ

しかし日本の投資家は、金に投資していないように見える。現在の市場リスクを考慮すれば、株式投資を中心に据えるとしても、金と現金(円)の比率をこれまで以上に高めることが不可欠であろう。ドルの金に対する価値は50年で50分の1以下になったが、円の金に対する価値はこの50年で13倍になっており、むしろ上昇しているからだ。

その意味では、金のみならず、円も今後は貴重な資産になるだろう。意外に感じられるかもしれないが、ひとつの事実がある。主要通貨の中で、この50年で金に対して価値が上昇しているのは円だけなのである。

日本では、外貨預金などでドルを投資先に選択している投資家が多いだろうが、歴史を見ればそれはほとんど意味がなく、むしろ資産を減らす可能性のほうが高い。通貨価値という観点に立てば、ドルを買うよりも、むしろ円を保有しておいたほうがよい。これは、ユーロやポンド、豪ドルなど主要通貨に対しても同じである。

株式・金・円の3分割法を

いまや各国の金利差はほとんどない。金利を投資対象にする時代ではなくなっているという点も、すでにゼロ金利になっている円には有利に働くだろう。債券よりも金利の付かない金や、もともと金利の低い円が相対的な優位さを持つわけである。

このように考えると、今後資産ポートフォリオを組む際には、たとえば株式・金・円を3分の1ずつ保有するくらいの大胆な配分でもよいだろう。そのうえで、長期的な景気サイクルなどを考慮し、大きく価値が低下したものを買い増し、保有比率が一定になるよう調整(リバランス)するようにすればよいだろう。

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債券などにも投資したいと考える人がいるかもしれないが、それらはあくまで少額とすべきだ。債券がメインの投資対象になる時代はもはや終わったのである。

株式は個別銘柄よりETFへ

株式については、個別銘柄への投資を志向する人もいるだろう。それは好みの問題である。

ただし、個別企業には倒産リスクや企業不祥事のリスクがある。そのため、個別企業への投資に不案内であれば、主要株価指数に連動するETF(上場投資信託)に投資すればよい。そのうえで、株価が大きく下落したときに、現金を投入して株式に資金を振り向けるなど柔軟に対処すればよいだろう。

ただし、株式投資をする際には、金にも同時に投資することが肝要である。必ずリスク分散を行うようにすることが、リスク軽減につながるのである。