ムダに長い話は人の時間を奪う罪深き行為

私は、短いことはとても重要だと考えています。もちろん、どんな話も常に短くしなければいけないわけではありません。そんな人との会話はきっとつまらないでしょう。

しかし、短く済ませるべきときにそれができないのは問題です。

たとえばパーティなどでの乾杯スピーチ。参加者の手にはグラス。全員が「乾杯!」の瞬間を心待ちにしている。そんな局面でダラダラと長く話すのは御法度(ごはっと)とでしょう。

ムダに長い話は人の時間を奪う罪深き行為です。極端な表現かもしれませんが、簡潔に伝えられない人は「会話の犯罪者」なのです。

余談ですが、年配の人が「スピーチと女性のスカート丈は短いほうがいい」というジョークで笑いを誘おうとすることがあります。スカート丈についてのコメントは控えますが、スピーチについてはまったくそのとおりだと思います。

何かを伝えるということは、それを聞く誰かがいて、その人物の時間を奪っているという事実をまず認識したいものです。

カーナビをイメージして話そう

「会話の犯罪者」にならないためにまず大切なのは、「伝え方のお手本」を決めることだと考えます。周囲に「この人の話はいつもわかりやすいなあ」と思える人物がいれば、その人をお手本にするとよいでしょう。

私は実は、「カーナビ」をお手本にしています。

カーナビと数学には共通点があります。

まず、いずれも最短距離をよしとしていることです。基本的にカーナビは遠回りのルートを推奨しませんし、あなたもあえて遠回りを探したりしないでしょう。数学ももっとも短く解くのが、よい解法とされます。

また、私はカーナビの「伝え方」がとても数学的であることにも気づきました。

カーナビの発するコトバの特徴を思いつくままに列挙してみます。

・とにかく正確
・とても具体的
・方向を指示している
・短い

ざっとこんなところでしょうか。

優秀な数学教師の話し方は、カーナビと同じです。授業で余計なことは言いません。話が脱線したり、不要なところで不要な定理を持ち出すようなこともしません。