製品開発に関する勉強や連日の会議出席、資料作成などに追われるうち、重光さんは激しい頭痛に見舞われた。5月下旬には12日間連続で会社を休んだほどである。その後も頭痛や不眠、疲労感などの症状は改善せず「フラフラで出勤するのがやっと」の状態に陥った。

「承認会議の責任者はできません」

体調の悪化を理由に重光さんは上司にそう申し出た。だが、上司は無言で立ち去り、その後に重光さんは別の部署の上長から呼び出され、こう告げられた。

「いますぐ承認会議の打ち合わせをしてもらわないと、出荷ができなくなって困る」

結局、承認会議は乗り切ったものの、さらに体調が悪化した重光さんは、受診していた神経科クリニックのアドバイスを受け、長期療養に入ることになった。

明らかに体調が悪化した後は、仕事を投げ出してもよかったのでは? そう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「12日間休んだ後は本当に会社に行くのがやっとで、なるべく製品開発の仕事はやらないようにしていたんです。でも上司が私を責任者にした以上、うまくいかないと周囲から責められるのは私なんですよ。どうしようもない状態でした」