今回の金融危機を招いた「強欲資本主義」への反動が、このアンケートにも表れているのだろうか。「『構造改革だ、成果主義だ』と騒いでいた時代だと、違った結果になっていたでしょうね」。シンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志さんは、そう分析する。

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図5・6・7

「『働く』とは『傍をラクにする』こと。上司に頼まれてコピーを取って『ありがとう、助かった』と感謝される。これだけで喜びなんですよ。日本語でよく言う『お役に立てただけでも、ありがたい』。それが『働きがい』。ところが過去20年、我々はいつの間にか『働きがい』を失って、高い給料をもらうことだけを目標にしてしまった。しかも競争社会ということで、皆自分のことしか考えない。それで永遠に走れるのならよかったのですが、不況で給料が払えなくなってしまった。お金のほうに価値観をシフトさせたのに、目の前にあったニンジンが消えてしまったわけです。で、『考えてみれば、働くということにはもっと深い意味があったよね』と気づいた。それが今の状況だと思います」

「社会貢献や人から感謝されることがモチベーション」だと答えた人は、仕事や私生活での満足度も高い(図7)。金銭よりも心の充足を求める傾向は、今後さらに顕著になるのではないだろうか。

※【調査概要】gooリサーチと共同で調査を行い、インターネットを通じて全国の20~50代の正社員2104人より回答を得た(うち、男性73.7%)。調査期間は2009年4月7~9日。
※すべて雑誌掲載当時

(川本聖哉=撮影)