マスク種類別の性能差とは

大西准教授に、マスクの種類別「漏れ率」を測定してもらうことにした。

大西准教授による「マスク漏れ率」測定の様子。(画像提供=大西准教授)

まず、アベノマスク(ガーゼ)を、一般的な装着法で測定してみると、「100%」という値がでた。そこで、マスクの周囲を押さえて測定すると「89.58%」。少しだけ改善した。

ベトナム製の特殊な形状をした、アベノマスクでは、一般的な装着法でもマスク周囲を押さえても「100%」だった。フィルター効果はゼロに等しい。

ファッショナブルなウレタンマスクは、元々顔にぴったりフィットするデザインだが、漏れ率「100%」。これも、フィルター効果はほぼ期待できない(※製品によって、漏れ率は異なる可能性がある)。

使い捨ての不織布マスクは、PFEという遮断率試験を通った日本メーカーの製品で測定したところ、一般的な装着で「100%」、隙間がないようにつけ方を工夫すると  「51.58%」の値が出た。

ただし同じ不織布マスクでも、中国ブランドで50枚入り約2000円の製品は、隙間に注意して装着しても「81.40%」にとどまる結果となった。

外見は同じように見えても、不織布の性能差が大きいことが分かる。

飛沫感染や空気感染のリスクが高い医療現場などで使用されるのは、高規格の防じんマスクだ。大西准教授の顔にフィットした製品で測定すると——。漏れ率は「0.89%」だった。大西准教授によると、漏れ率の数値はマスクを装着する人の骨格の違いによって異なる。ただし、多くの人で今回と同じ傾向を示すという。

マスクをめぐる大きな誤解

今、あなたがマスクを装着する理由はなんだろう?

「自分が新型コロナに感染している可能性があるので、他者に移さないため」と、多くの人が答えるのではないだろうか。メディアや医療者が、このようなメッセージを発信しているから当然かもしれない。

しかし、ご覧いただいた通り、人気のウレタンマスクや、アベノマスクこと布マスクでは、他者にウイルスを移さないという目的は、実現できていない可能性が高い。それは、おしゃれな手作り布マスクも同様なのだ。

「安倍首相や閣僚、そして小池知事のマスクの素材や大きさ、着け方とかを見て、マスクのことを知らなくて残念だなと思っていました。お手本になるべき方々が、そういうマスクの扱い方をしてテレビに出ると、国民をミスリードしてしまいますから」(大西准教授)

新型コロナの感染拡大が起きてから、一部の閣僚や知事たちは、まるでファッションを競うように「布マスク」を装着して会見に登場していた。これが、布マスク・ブームを引き起こした一因になっている。

だが、どんなマスクでも、装着すれば身が守られるわけではないし、他者への感染を防ぐことができるとは言えない。