「子ども向け実用書」が明らかにした日本の教育の盲点

先述の通り、2020年度からの実施される学習指導要領では「主体的・対話的な深い学び」が重視される。とはいえ筆者は、子ども向け実用書が扱っているような領域を教育現場(学校)がどこまで教えられるかについては懐疑的だ。

なぜ子供向けの実用書が売れているのか。
なぜ親が子ども向け実用書を求めるのか。

それは、まさに「学校では教えてくれない」からだった。旺文社は自社努力を重ねてそのニーズにいち早く応え、教育行政に先んじてその需要を掴んだ。需要の存在は知っていても行政や教育現場では現実的にはそこまでケアしきれない。その部分に踏み込んで読者となる子育て中の親、あるいは子どもに解決策を提案した。

いま教師は多忙だ。教科を教えるだけでなく、学校行事を取り仕切り、部活の顧問を務め、トラブルや保護者からの要望やクレームにも応えなければいけない。だからこそ「子ども向けの実用書」には価値があり、ニーズがある。

従来の学習参考書が、日々の学校の授業でフォローしきれない勉強のサポートをする価値を提供してきたように、子ども向け実用書はそもそも日々の勉強の仕方のコツやなぜ勉強するのかという動機を提供し、新しい時代の学びをサポートする参考書なのだ。

関連記事
つい子供にブチ切れてしまう人に伝えたい「3つの質問」
子供をTVゲーム、YouTube漬けにしない「知的ボードゲーム」7選
東大生が感動した「勉強になるYouTubeチャンネル」5選
コロナ世代の子供たちが負う「2カ月休校で生涯賃金300万円減」の枷
よかれと思った"0歳児からの早期教育"でむしろ欠落する力