小さく貼られていた説明を読むと、料金は15分9元(144円)。日本との物価の差
を考えると、15分300円ぐらいの感覚だ。

さっそく、アリペイでQRコードを読み取り、ボックスに手書きで書かれた番号を入力。「いますぐロック解除」をクリックすると、ガチャリと解錠音が聞こえた。

扉を開けてなかに入ると、カラオケボックスやネットカフェの個室のような空間で、ソファやテレビ、小型テーブル、クッション、サッカーボールなどの小物が置かれていた。

扉を閉めると再びガチャリと音がして、施錠された。

完全に閉じ込められてしまったが、出たいときにはスマホで操作して料金を支払い、カギを開ける仕組みになっている(万が一、室内でスマホが壊れた時は、どうするのだろう)。

室内には小さな窓はあるものの、ブラインドを下げれば外からは見えない。マジックミラーのような構造になっているので、内側からは外の様子がはっきりと見える。

通行人が見える場所でくつろぐのは、少し気まずい気分にもなった。はたして、こんな空間でくつろげるのだろうか。

「エロいことでもしてるんじゃない?」

個室に入ってしばらくすると、中学生ぐらいの男子グループが興味深そうにボックスに接近。臆面もなくブラインドの隙間に顔を近づけ、こちらの様子を覗き込んできた。

「中に人がいる!」
「何やってるんだろ?」
「エロいことでもしてるんじゃない?」

中学生らしい品のない会話が聞こえてきた。外部から遮断された個室空間では、いかがわしい行為をする人がいるのでは? という懸念は確かにある。だが、室内にはしっかりと監視カメラが設置され、不適切な行為がないかどうか見張られている。

そう考えると、なんだか落ち着かない気分になる。室内の壁には、警察官のイラストとともに、こんな注意書きもあった。

「わいせつ、賭博、薬物使用などの行為は一切禁止です」
「たばこ厳禁。違反すると警報音が鳴ります」
「危険物、燃えやすいもの、爆発物の持ち込み禁止」
「室内の設備を破壊しないこと」
「これらの行為が発覚した場合、事実確認の上、警察機関へ連絡し厳格に処理します」

監視カメラで撮られていれば、さすがにルールを守る人がほとんどだろう。ソファは少々ホコリっぽかったが、ゆったりできてかなり快適。靴を脱いで横になると、仮眠を取ることもできそうだった。