「計算して走るのではなくどんどん攻めたい。MGCをぶっ壊します」

2019年9月15日のマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)でも設楽は自らの意思を貫いた。「自分は最後まで計算して走るのではなく、前半からどんどん攻めていきたい。MGCをぶっ壊します」という言葉通り、序盤からひとりで切り込んでいく。15km地点では後続に2分14秒という大量リードを奪うも、気温28.8度の暑さには勝てず、14位に沈んだ。

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東京マラソンの記者会見で、男子マラソンの日本記録更新に向けて意気込む設楽悠太(ホンダ)=2020年1月28日、東京都港区

過去を振り返らないタイプは、「自分はやるだけのことをやったので、レース後は普通に後輩たちと飲みに行きました。終わった後は、とくにかく休みたかった。マラソンは夏にやるもんじゃないと思っているので、正直、オリンピックはどうでもいいと思っています。自分よりも暑さに強い選手はたくさんいると思うので、僕は冬のマラソンで勝負していきたい」と話している。

そして、「MGCのレースを海外のトップ選手が見たら笑うと思うんですよ。2位以内を目指す争いをしていてもつまらないですし、日本のレベルはまだまだ低いなと感じました。そんなことをやっていても、日本のマラソンはどんどんレベルが落ちていくというか、成長はありません。だからこそ、自分は少しでも日本のマラソンを盛り上げたいと思っています」と自分にしかできないレースをすると決めている。

「ここで勝たなきゃ次はない」

3月1日の東京マラソンに向けても、2月2日に丸亀国際ハーフ(1時間0分49秒)を走り、2月16日には熊日30キロロードレースに出場した。2年前は本番の2週間前に10マイルレース(約16km)を走ったが、「距離を延ばした意図は特にありません。気分です」と明かす。

その結果は1時間29分47秒で優勝。風雨のなか7km付近で独走態勢を築くと、中間点までは30kmの日本記録を上回るハイペースで攻め込んだ。設楽らしいアグレッシブな走りで、後続に大差をつけてフィニッシュした。

「ここで勝たなきゃ次はないと思っていました。勝ててホッとしています。あと2、3割は上がると思うので、日本中が興奮するような走りをしたいと思います」と東京マラソンを見据えていた。