27カ月目で破綻する「ねずみ講」の数学的考察

「ねずみ講」をご存じだろうか。ねずみが一定期間にどれだけ増殖するかを計算したものを「ねずみ算」といい、それを犯罪に応用したテクニックがねずみ講だ。よく「マルチ商法(ネットワークビジネス)」と混同されるが、厳密には別物である。ねずみ講は無限連鎖防止法という法律で禁じられた非合法ビジネスなのに対し、マルチ商法は合法なのだ。

ねずみ講の基本的な勧誘パターンの代表例は、「1カ月に2人、入会させるだけでいいのです。あとはその2人が新しい会員を2人ずつ増やすので、その入会費の一部が紹介料としてあなたの収入になります。確実に儲かる仕組みです」というもの。最初に会費を払って入会し、あとは2人の会員を勧誘すればいい。「1カ月で2人なら、私でもできそう」と軽い気持ちで始めてしまいがちで、まん延しやすいのである。

しかし、このビジネスシステムは人口が有限であることから、最終的に必ず崩壊するようになっている。図のように、ねずみ講はピラミッド構造をしている。最初の1人が会員を2人募り、次にその2人がそれぞれ2人を勧誘し……と続く。会員が毎月2人ずつ会員を増やしていけば、2カ月目は「1+1×2=1+2=3人」となり、3カ月目は2カ月目に新規入会した2人が2人ずつ勧誘するので「1+2+2×2=1+2+4=7人」となる。