金言29:銀行訪問では「数字」「現状」「展望」を伝える
悪いことは先に、良いことは後に話す
銀行訪問では、最初に「数字」を報告します。同行する幹部社員が、実績(損益計画の当月、累計、粗利益、人件費、支払利子)を口頭で読み上げます。銀行の担当者は、渡してある経営計画書の空欄(記入欄)に、読み上げた数字を記入します。
銀行の融資担当者が本店に稟議を上げる際、資料として武蔵野の経営計画書が審査部に渡ります。このとき、わが社の経理がエクセルで清書した数字と、銀行の担当者が手書きした数字では、後者のほうが明らかに信用される。手書きだと説得力があります。
数字の報告が終わったら、今度は私から会社の現況、今後の事業計画、トピックス、他行の融資状況などを報告します。このときは、「良いことも悪いことも報告する」のが原則ですが、「悪いことは先に、良いことは後に話す」ようにします。人間は、最後に聞いた話が印象に残るからです。話す内容は同じでも、順番を変えるだけで支店長の心証が違ってきます。
また、「どの銀行にも同じ話をする」という点にも気をつけます。銀行にはそれぞれの方針があります。同じ銀行でも、支店によって対応が違いますし、支店長が代われば方針も変わります。そういう違いや変化をつかむために、同じ話をすることが有効です。
金言30:お金の使い道を報告せよ
銀行は「数字を使って話ができる社長」を評価する
銀行が融資をするとき、担保を取るのは、社長が「信用できないから」です。銀行は、「優良な会社」にはどんどんお金を貸したい。そして、銀行から見た「優良な会社」とは、「貸したお金を期日までに確実に返済して、かつ金利を払ってくれる会社」です。それが「信用できる会社」です。
世の中を見渡すと、優良な会社ばかりではありません。むしろ、そうした会社は少ない。だから、銀行は根抵当権をつけたり、個人保証を取ったりするわけです。
多くの社長は、融資を申し込むときには「お願いします」と頭を下げますが、融資を受けたとたんに知らん顔をします。「そのお金をどのように使ったのか」「その結果、会社がどうなったのか」は報告しません。
お金を借りたら、「お金の使い道」を報告するのが当たり前なのに、報告の義務を怠っています。貸した側からすれば、ちゃんと返済してもらえるのかと心配です。だから、万が一に備えて、担保や個人保証を取ります。
銀行は数字を使って話のできる社長を評価します。数字は説得力のある言葉です。