思い付いたことを紙にバーッと書き出して、そこに赤ペンや青ペンで自分の意見を書き込んでいく。もう自分でも読めなくなっていますし、汚すぎて誰にも見せられないので、その場で破り捨てます。それを繰り返していくうちに、考えが固まってきて、最後に鉛筆でまとめるんです。ここでは書き直しはほとんどありません。それだけ頭の中で整理が済んでいるということです。この最終段階のメモは1年間で400枚以上は作っていると思います。
相手にこびへつらって喜びそうなことをするのではなく、相手が困っていることを見つけ出してその問題を解決してあげる。そうやって相手の立場になることが僕ら経営者には必要。そんなことを考えながら、日々ぐちゃぐちゃなメモを大量に殴り書きしては破り捨てています。
正しいことをしているのに困っている人
『豪華カプセルホテル 安心お宿』はカプセルホテルでありながら5000~6000円の宿泊料金を頂いています。カプセルホテルというものは、ホテル業界では「貧者の宿」とも呼ばれていました。そんななか、私が6000円のカプセルホテルを造ると言い出したわけですから、社員は全員反対でした。2017年の宿泊出張の宿泊料の平均支給額は、部長クラスで9870円、一般社員で8723円。東京でそれなりのホテルに泊まろうと思ったら、この料金では泊まれません。この安心お宿は、もちろん酔客に泊まってもらってもいいのですが、そういった出張のたびに困っているサラリーマンのために造った宿なのです。
ただ、豪華で安いホテルっていうのは誰でも造れますが、大赤字になって倒産します。だから、大浴場があって、サウナもあって、休憩室に行けばワインが飲み放題だけど、寝るところだけはカプセルですよという。隣のいびきが気になるという人がいれば無料で耳栓を配る。どこかひとつ落としどころをつくって、困っている人を助けてあげるわけです。
毎日真面目に働いているんだけど、残念ながら、30歳を過ぎてもいまだに平社員のままだと。そうすると自動的にこの人の泊まれるホテルは8500円までだと。東京まで会社のためにやってきて、それで泊まるところがどこにもない。そうしたらこの人の何が悪いかって、何も悪くないです。では、公園のベンチで寝るのかという話です。
正しいことをしているのに困っている人、という層がいないかなっていうのを常に考えています。