中国火鍋チェーンの座席に“クマのぬいぐるみ”が続出したワケ

「ソロ活」などの言葉も登場してきているように、国内においておひとり様向けマーケットは確実に拡大傾向にある。国外に目を向ければ、中国においては、若い消費者は、食事や旅行、映画鑑賞などを「一人で謳歌する」生活を楽しみはじめているという調査結果も存在する(出所:2018生活消费趋势报告)。

筆者撮影
平日18時ごろの焼肉ライク店内の様子

実際、中国の大手火鍋チェーン「ハイディーラオ(海底撈)」では、1人で来店した客に寂しさを感じさせないように、大きなクマのぬいぐるみを目の前の空席に座らせるサービスを提供しており、一時SNS上でも話題となった。

「家族や友人と一緒に食事する」ことがあたりまえとされてきた中国において、1人で火鍋を食べることはこれまでの常識からいえばありえないことだろう。しかし、上記の調査結果が示すように、中国においても若年層を中心にライフスタイルが多様化し、1人で外食するようなトレンドも生まれつつある状況だ。

侮れない「1人客」の消費ポテンシャル

加えて注目すべきは、上記のようなおひとり様を対象としたマーケティング施策の強化により、各店舗の売上高が大幅に増加する可能性があることだ。

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ガストの1人用ボックス席は学生からの人気も高まっている

たとえば、ガストでは、1人用ボックス席の導入によって、従来のメインターゲットである家族連れに加え、ビジネスパーソンや学生などの層を取り込むことに成功しつつある。すかいらーくグループの広報によれば、ビジネスパーソンが来店者の多くの割合を占めるガスト新橋店においては、ランチと夕食の間の時間において、売り上げが2割以上も増加したという。釈迦に説法かもしれないが、売り上げの伸び悩みに直面する飲食店経営者は「1人客」を「狙い撃ち」にすることで、不況を打破するための一手が得られるかもしれない。