ルールを変えてゲームの面白さを際立たせたラグビー界
何よりも今回、ここまでラグビーワールドカップが盛り上がったのは、日本代表チームが強かったこともさることながら、多くの人にラグビーのゲーム自体が面白いと感じてもらえたからだと思う。
これはルールの変更によって、ゲームを面白くしたんだ。
僕らがラグビーをやっていた頃は、すぐにプレーが止まっていた。そしてスクラムの繰り返し。ボールを持った選手のところにタックルに行けば、そこで団子状態になり、ボールが出なくなる。ホイッスルが鳴って、重なり合った人間を起こしながら、団子状態を解消する。そしてスクラム。この繰り返しだった。
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ボールを持った選手がタックルを受けて団子状態(ラック)ができた後に、ボールがうまく出てくることもあるけど、僕らの頃は、それが続くのは長くても5回くらいまでだった。いわゆる連続攻撃というもので、それはだいたい5回まで。
ところが、今は、連続攻撃は通常は5回以上は続き、長ければ10回、いや15回と続く。ずっとプレーが止まらない連続攻撃の展開になる。
これが決定的にラグビーを面白くした。プレーが止まらないように、団子状態(密集=ラック・モール)になってもボールがまた出てくるように(出さなければならないように)ルール改正が行われたんだ。
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代表選手の報酬は安すぎる! ラグビー協会は収益化に知恵を絞れ
ラグビーはもともとアマチュアリズムというものを徹底していたスポーツだった。紳士のスポーツだね。もっと言えば、お金に余裕のある人のスポーツ、という感じかな。だから、選手が報酬・利益をもらうことを極端に嫌がる世界だった。
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でもそういうアマチュアリズムに固執していたことによって、選手の処遇が改善しなかったこともあったと思う。ラグビーをやっていても将来が見えない。一部の裕福な者だけが楽しめばいいなんてことにしたら、競技人口はどんどん減って、ラグビーは成り立たなくなるだろう。競技人口を増やすなら、ラグビーをやればきちんと生活ができる、さらには豊かな生活ができるという夢を子供たちに見せてあげなければならない。
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ラグビー協会は、もっと必死になって、選手の処遇が良くなるように努力すべきだ。そのためには徹底して稼がなければならない。アマチュアリズムの良い部分は守るにしても、それに固執していてはダメだ。
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日本選手の日当は1万円。ちょっと前までは2000円で、グリーン車料金やタクシー代も出なかったらしい。今回のワールドカップでは選手1人あたり100万円の報奨金が出るらしい。
これは少なすぎる。
今回はお金がないにせよ、次回に向けて、ラグビー協会は徹底してお金を稼ぐ知恵を振り絞らなければならない。
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とにかく選手ファーストで、選手の報酬を徹底的に上げるためのラグビー協会になって欲しいね。
日本代表の選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。本当にありがとうございました!
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.173(10月29日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【大成功・ラグビーW杯】これが日本代表の強さとゲームの面白さをもたらした「革命」だ》特集です。